2011 Fiscal Year Research-status Report
思春期女子が受ける母親の喫煙のリスクと母娘への禁煙・防煙支援プログラムの開発
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23593352
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
酒井 ひろ子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (90434927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一友 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30203897)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Women's Health / Menstrual Cycle / Menstrual Symptoms / Quit Smoking Program |
Research Abstract |
研究の目的は、1.月経周期ならびに月経周期関連症状が禁煙成果へ及ぼす影響を明らかにすること。2.能動喫煙と受動喫煙が母(中年期~更年期女性)と娘(思春期)の性ホルモンに関連する症状に及ぼす影響を明らかにすることである。 23年度に実施した目的1に対する研究は、18歳から25歳までの喫煙女性63名を対象者に、月経周期、排卵の有無、月経周期各期における月経関連症状、抑うつ症状を把握した禁煙支援を実施した。対象者は禁煙に関する健康教育を受けた後、卵胞期もしくは黄体期の禁煙開始日に振り分けられた。禁煙開始から、3日後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後に禁煙継続を呼気中CO濃度測定ならびに尿中コチニン検査にて評価した。その結果、卵胞期と黄体期の群間で再煙率に統計学的有意差を認めなかった。しかし、黄体期に再煙した女性が、月経期、卵胞期、排卵期と比較し有意に高率であることを確認した。また、禁煙を達成した対象者と比較し再煙者は、月経周期関連症状の重症度が有意に高かった。近年、女性喫煙者に対する禁煙支援は十分な成果を示しておらず、女性喫煙者の再煙率の高さについても問題視されている。本研究では、女性に有用な禁煙支援を開発するためには、月経周期ならびに月経周期関連症状を考慮する重要性を明らかした。 研究目的2の、母と娘を対象とした調査への準備として、思春期女子に対しては、初経、月経周期、月経周期関連症状と月経に影響する要因、受動喫煙の暴露状況、喫煙者には喫煙状況を問う質問紙を作成した。母親に対しては、能動喫煙ならびに受動喫煙に関する既存の報告を精査し、閉経、更年期症状に影響する要因と喫煙者、禁煙者には娘の妊娠中から現在までの喫煙、禁煙の状況、喫煙期間、喫煙量の項目で構成する質問紙を作成した。調査の実施に向けて、フィールドとの協議、調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
能動喫煙と受動喫煙が母(中年期~更年期女性)と娘(思春期)の性ホルモンに関連する症状に及ぼす影響を明らかにするための予備調査が、23年度中に終了していない。この調査の遅れの原因は、受動喫煙の暴露量をより確実な方法で明らかにするために客観指標を用いた予備調査を実施した結果である。 受動喫煙の暴露量を調査票と尿中コチニン値(受動喫煙用コチニン測定ELISAキット;コスミックコーポレーション社製)と一酸化酸素濃度計測を用いて、受動喫煙の暴露のある被験者15名と暴露のない被験者15名のデータを比較した。その結果、尿中コチニン値が、5ng/mgCr以上の受動喫煙暴露者は、家庭内に1名以上の喫煙者があり、同室内での喫煙がある対象者8名であった。一酸化酸素濃度測定値を使用した受動喫煙の暴露の有無と暴露量の推定は不可能であった。さらに、月経周期に関する調査の精度を上げるために基礎体温測定を取り入れた調査内容にするための検討と調整を行った。 23年度の予備調査の結果から調査内容、調査項目を精査し24年度の本調査に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備調査で得られた結果から、調査項目・使用尺度の妥当性の検討を行い、本調査用調査票を作成し、実施のための関連諸機関との調整・連携を図る。さらに、調査票の回収と分析を研究分担者と実施する。次年度に使用する予定の研究費は、本調査の実施のための基礎体温計、尿中コチニン測定、使用尺度の購入、調査票の作成ならびに配布、回収のために使用する。 研究計画の変更点は、予定していた調査対象者のサンプルサイズを母娘300組へ、大幅に縮小した点である。理由は、受動喫煙の暴露量をより確実に把握するために客観指標(尿中コチニン測定)を取り入れることと、能動喫煙と受動喫煙の、月経周期ならびに月経周期関連症状への影響についての評価に対し、母娘ともに基礎体温測定を取り入れた、月経1周期間の調査を実施するためである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査の結果の分析ならびに成果物の公表、母と娘を対象とした禁煙・受動喫煙の暴露防止に関する啓発と健康教育支援のアクションプランを作成し評価する予定である。
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Research Products
(3 results)