2011 Fiscal Year Research-status Report
早産で生まれた子どもへのスリープマネージメントによる睡眠習慣確立プログラムの構築
Project/Area Number |
23593353
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安積 陽子 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 准教授 (40336847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 哲 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10216658)
石岡 由紀 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 准教授 (70411931)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生活リズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、早産・極低出生体重児とその母親を対象に生活リズム確立プログラムを作成し、その効果を子どもの睡眠状態、成長・発達、母親の精神的健康度の観点から検証することである。平成23、24年度の目標は生活リズム確立プログラムの作成、24年度後半から25年度の目標を生活リズム確立プログラムの効果検討としている。平成23年度は、実践可能な生活リズム確立プログラムの内容検討を行った。 内容検討の1点目は、子どもの生活リズム確立プログラムに関する先行研究をレビューし、プログラムの内容を検討することである。乳児を対象に睡眠習慣の確立プログラムについて、過去10年間の文献をレビューした。その結果、ほとんどのプログラムは行動科学的アプローチを基盤とし、西欧諸国から報告されていた。プログラムの内容や、よしとされる就寝環境の捉え方は、西洋と日本では異なると考えられた。したがって、たとえ西洋社会では効果的であると報告されているプログラムでも、日本文化では受け入れ難く、実施が難しい内容である可能性が考えられた。そこで、検討内容の2点目として、規則的な生活習慣を形成させる重要性や具体的な実施方法に関する意識調査を急遽実施することとした。具体的には、「乳幼児の生活リズムに関する意識調査」と称する質問紙票を作成し、平成23年9月から12月までに、神戸市児童総合センターの協力を得て、親および子どもに関わる専門職を対象にアンケート調査を実施した。調査結果は分析中であるが、乳幼児の母親は、光環境を整える必要性や方法についての知識が不足している、子どもの生活リズムは1歳半頃から整える必要があると考えている傾向が見えてきた。さらに、就寝環境や子どもの夜間覚醒時の対応に関する回答結果を鑑みると、西欧で報告されたプログラムを一部改編し実施する必要性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、早産・極低出生体重児とその母親を対象に生活リズム確立プログラムを作成し、その効果を子どもの睡眠状態、成長・発達、母親の精神的健康度の観点から検証することを目的としている。平成23、24年度の目標は生活リズム確立プログラムの作成にあてている。平成23年度は、効果的なプログラムを作成するための基礎的資料を得ることが中心となった。文献レビューの他に、規則的な生活習慣を形成させる重要性や具体的な実施方法に関する意識調査を乳幼児の母親や子供に関わる専門職を対象に実施した。現在まで、乳幼児の母親 173名、専門職65名からの回答を得ている。 乳幼児の母親のアンケート結果から、乳幼児の母親の多くは、子どもの規則的な生活リズム作りは、1歳半頃から意識するのが望ましいと考えていることがわかった。実際には、夜泣きなどの睡眠問題は生後12か月までの間にも発生し、サーカディアンリズムの形成が未熟であることが原因の一つになっている。したがって、プログラムの一環として、乳児期から生活リズムを確立させることの重要性についての啓蒙活動を含める必要があると考えている。また、サーカディアンリズムの形成を促す上で重要な因子である光環境の調整については、適切な情報が母親には伝わっていないことを示唆する結果が得られた。したがって、生活リズムを整える上で、比較的簡単に実践できる光環境の調整に関する情報提供をプログラムに含めることが有用であると考えている。 現時点では、プログラムは完成していないこと、またプログラムの効果判定をどのように実施するか、具体的な計画が立てられていない。以上2点は、平成24年度において早急に取り組み、年度内に健常児を中心にプログラムの実施とその効果判定に進んでゆけるようにする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、効果的なプログラムの内容検討のための基礎的資料を得ることに終始した。平成24年度は、平成23年度に得られた資料をもとに、乳幼児の母親にとって実践可能なプログラムを作成し、8月から9月に、健常乳幼児を対象にプログラムの実施と効果判定を行う。したがって、当初計画した工程と大きく変更する点はないと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プログラムの効果を判定するための機器類については、アクティウオッチやストレス判定装置を検討しており、これらは平成23年度にある程度購入した。現在は、プレテストを計画中であり、これらの機器を実際の乳幼児と母親に使用する際の留意点について明らかにする予定である。具体的な実施場所、対象者数によっては、追加購入する予定である。 また、広く子どもの生活リズムに関する知識を普及すること、さらに睡眠問題に悩む母親への支援システムの構築の礎を検討するために、ホームページを立ち上げ、インターネットを活用したプログラムの展開の可能性を探る予定である。 分担研究者(石岡)の分担金未執行の理由は、プログラムの内容検討(予備的な実施)が十分に行えなったことによる。平成24年度は、プログラムの内容を分担研究者と検討したうえで、石岡のフィールドにおいて、平成23年度分担金を利用してプログラムの予備的実施を行う予定である。
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Research Products
(1 results)