2011 Fiscal Year Research-status Report
地域保健分野で働く看護職のリスクとリスクマネジメント
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23593379
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 知恵子 大分大学, 医学部, 教授 (00232421)
後藤 奈穂 大分大学, 医学部, 助教 (30582811)
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域保健分野 / 看護職 / リスク / リスクマネジメント / 保健所 / 市町村 / 地域包括支援センター |
Research Abstract |
本研究の目的は地域看護の視点から、地域保健分野で働く看護職が対人サービスにおいて遭遇するリスクの特徴とリスクマネジメントの在り方を明らかにすることである。本年度は少人数への面接調査と文献調査から地域保健分野の看護職が遭遇するリスクと対策の実態の概要を把握した。文献調査からリスクとリスクマネジメントに関する面接内容の枠組みを検討し保健所、市町村、地域包括支援センターのそれぞれ4~5名、合計14名の看護職に半構成的面接を行った。対象者本人や同僚が体験したあるいは可能性のあるリスクとリスクマネジメントの事例が134抽出され、分析の結果、保健所・市町村・地域包括支援センターで共通するものとして、『対象者との信頼関係』『対象者への感染』『看護職自身と家族への感染』『暴行など危険行為の可能性がある対象者への対応』『情報管理』『業務上の交通事故』等があった。保健所の看護職が遭遇するリスクの特徴的なものとして『感染症患者のプライバシーや人権の保護』、『情報管理』の中でもケア会議など他機関の他職種と情報を共有する際の個人情報保護に関するリスクがあった。市町村では『保健事業における対象者の身体的損傷』や、『虐待事例への対応とマネジメント』『DVを受けている対象者への対応』等があり、これら『ハードな事例対応後の看護職自身のメンタル』に関するリスクがあげられた。地域包括支援センターでは、『信頼関係』の中でも、興奮・困窮している対象者との初回電話対応のリスク事例が多かった。『看護職自身と家族への感染』では、緊急対応後に対象者の結核感染が発覚し、無防備な状態で高齢者に対応している実態が明らかになった。また、地域包括支援センター機能の特徴から、対象者のみならず家族やケア提供者のリスクにも関係し、管理的要素を含んでいた。現在、データ分析を継続中で、今後、分析結果から質問紙を作成し調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、少人数への面接調査と文献・資料調査により、地域保健分野の看護職が遭遇するリスクと対策の実態の概要を把握すること、把握した概要から質問紙調査項目を検討する事であった。現在、面接調査と文献・資料調査を終え、データを分析中である。今年度半ばまでには分析を終了し、質問紙調査項目を検討し作成する予定でありおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究組織の構成、役割分担は当初の計画を変更せずに進めていく。また、質問紙調査の対象者は、A県内の保健所、市町村、地域包括支援センターの看護職(保健師・看護師)の全員(約500名)を予定している。調査をスムースに進めるために、各機関の統括部門に研究主旨の説明と協力を依頼した上で実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
約500人に対する質問紙調査にかかる費用やデータ保存のための電子媒体、印刷用紙、事務用品、文献など消耗品にかかる費用、データ入力や分析にかかる研究補助者に対する謝金、最終年度のグループインタビューにかかる旅費や学会発表にかかる旅費を計画している。
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Research Products
(1 results)