2012 Fiscal Year Research-status Report
養育者の援助要請行動に着目した幼児の包括的な発達支援システム開発
Project/Area Number |
23593386
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
臺 有桂 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (00341876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木田 美香子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (50303558)
田高 悦子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30333727)
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Keywords | 援助要請 / 幼児 / 発達障害 / 発達支援システム |
Research Abstract |
本研究の全体構想は、我が国における幼児の発達障害に対する適切なスクリーニングおよび支援を目指した地域での包括的な発達支援システムを構築することである。その全体構想の中での本研究の目的は、同システムにおける具体的な一方策として、研究者らが開発した‘幼児の健康課題に対する養育者の援助要請(Help-seeking)概念モデル’に基づく地域での包括的な発達支援システムを開発し、学術的・施策的有用性を評価することである。 平成23年度には、首都圏近郊A市における平成17-19年度出生児の保護者に対する郵送式の自記式質問紙を用いた悉皆調査(平成23年8月15日現在 住民基本台帳登録者全数)を平成23年9-10月にかけて実施した。調査内容は、デモグラフィックデータ、児の健康課題に関する援助要請経験、事例による児の健康課題の認識、援助要請の可能性の判断、保護者の特性(ソーシャルスキル、育児観、親としての自己効力感など)であり、配布数4,107件に対し、回収数2,443件(回収率59.4%)であった。 当該年度である平成24年には、前年度に実施した調査結果の解析を進めた。結果、幼児を持つ保護者は、健診や幼児通園施設で勧奨された児の健康課題に対し、9割以上が何らかの援助要請行動を起こしていた。また、母親の援助要請においては、子どもの健康状態を見過ごせないとする認識、自己解決志向性、被援助志向性、社会的スキルの低さなどが行動の促進因子であり、子どもの健康状態に対する認識の楽観性の高さは行動の抑制因子であった.これらの結果から、母親が子どもの発達を正しく認識し,適切なHSを発揮できる地域における包括的な発達支援システム構築の必要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である地域における幼児の発達障害に対する包括的な発達支援システムを検討するための基礎データを得ることができている点は達成と言えるが、調査の解析結果から養育者の援助要請概念モデルの検証までには至らなかった。以上より、本研究は概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成25年度には、調査研究による結果を基に、調査対象地域および子どもの発達障害に対する取り組みを工夫している自治体において、スクリーニングからフォローアップまでの一貫した支援の実態を観察、および対象者・支援者にインタビューするなどのフィールドワークを行い、提案の妥当性を検証する予定である。 以上の取り組みを総合して、最終年度には、地域における幼児の発達障害に対する適切なスクリーニングおよび発達支援といった包括的な発達支援システムの提言をまとめる方向である。 なお、本研究の結果は、調査対象地域における職員研修会を兼ねた結果報告会を持ちフィードバックするとともに、関連学会への発表・投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、フィールドワークならびに研究の総括を遂行する予定である。 したがって、フィールドワークでは旅費ならびに観察・インタビューのための消耗品を要する。また、研究成果の総括に向けた文献による検証、学会発表に関する諸費用(旅費、消耗品、学会参加費等)を研究費によって当てたいと考えている。 なお、当該助成金の繰越金が生じているのは、予定していた旅費の支出がなかったためであり、この繰越金はH25の総括に向けての諸費用に当てる予定である。
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