2012 Fiscal Year Research-status Report
保健医療福祉が連携した感染症対策システム・専門相談員教育課程の構築に関する研究
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23593391
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
脇坂 浩 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80365189)
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Keywords | 感染症対策 / 感染症対策システム |
Research Abstract |
まず、本研究では、都道府県庁・保健所で感染症対策を担当する保健師の業務の実態と課題、研修ニーズを明らかにした。平成24年10月~11月にかけて、各都道府県庁47か所と市区型保健所100か所の感染症対策担当の保健師を対象に、感染症対策の業務と課題、研修ニーズについて質問紙調査を行った。回収率は54名で36.7%(都道府県庁40.4%、市区型保健所35.0%)であった。麻疹の感染症対策は都道府県庁が主となっていたが(p<0.01)、その他の感染症対策は全体的に市区型保健所が行っている割合が高かった。専門的知識や技術の不足により苦慮している内容は、都道府県庁(21.1%以下)、市区型保健所(34.3%以下)ともに低い割合であった。結核に関する研修は、91.4%以上の受講経験と57.9%以上の研修ニーズがあるのは、普段から業務として取り組む内容が多いためだと考えられた。また、鳥インフルエンザ等の脅威的で蔓延しやすい感染症(42.9%以上)や感染症発症時対応(57.9%以上)も両群で研修ニーズが高いことから、最も望まれる研修の一つは、危機管理に関する感染症対策ではないかと考えられる。しかし、保健師と医療施設所属の感染症対策専門家とが連携する割合は50%以下なので、地域の危機管理における感染症対策を推進するには、今まで以上に医療施設と保健福祉関係機関の職員がお互いの役割を理解して連携していくことが望まれると示唆された。 次いで、高齢者介護施設における感染症対策の実際や課題を抽出できれば、医療施設と保健福祉関係機関が連携した感染症対策システムを構築するための一助となると考え、高齢化率が全国平均値にあるA県の高齢者介護施設(206施設)における感染症対策の実際と課題を調査した(平成25年3月~4月)。回収数は69施設(33.5%)であった。調査結果は、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「医療施設と保健福祉関係機関が連携した感染症対策システムの構築」と「保健師のための感染症対策専門相談員教育課程の構築」に関する基礎的な調査として、保健福祉関係機関の感染症対策の実際と課題、保健福祉関係機関に医療施設の感染症対策専門家が介入している実際と課題を見出すために現在取り組んでいる。 保健福祉関係機関の感染症対策の実際と課題に関する調査は、保健所と高齢者介護施設を対象に行えている。よって、全国保健所における感染症対策の実際と課題を見出すことが出来た。次いで、高齢者介護施設を対象にした感染症対策の実際と課題に関する調査は、現在分析中である。これらの結果も参考にすることで、保健福祉関係機関の感染症対策の実際と課題が明らかになるのではないかと考えられる。 これまでの調査結果を参考に、全国の医療施設の感染症対策担当者(感染症対策チーム等)を対象に、保健福祉関係機関への介入の実際と課題について調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
保健所における感染症対策の実際と課題に関する調査は、既に分析を終えているので学術集会(日本環境感染学会総会:平成26年2月)で報告する予定である。高齢者介護施設における感染症対策の実際と課題に関する調査結果を分析を平成25年11月までに行い、平成26年度の学術集会で報告する予定である。 これまでの調査結果を参考に、全国の医療施設(感染症対策チーム)を対象に、保健福祉関係機関への感染管理・制御に関する介入の実際と課題について調査を行う予定である。主に、感染症における集団感染や耐性菌に関する感染症対策について探求していく予定である(平成25年12月~平成26年2月頃)。その調査の際には、三重県立看護大学地域交流センター認定看護師教育課程「感染管理」修了生(60名)と研修生(30名)に研究協力を依頼する予定である。研究方法は質問紙調査と合わせてヒアリング調査を行い、感染症対策の実際と課題を浮き彫りにしたいと考えている。この調査結果に関しては、平成26年度の学術集会で報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全国の医療施設を対象にした感染症対策の実際と課題に関する調査では、質問紙調査による通信費とヒアリング調査による交通費を使用する予定である。また、この調査に係る調査補助費も含めて120万円で予算を立てている。 調査データの入力・分析と成果報告に必要な物品(ノートパソコン、デジタルカメラ、ICレコーダー、レーザープリンター)を、30万円以内で購入する予定である。 学術集会での成果報告、研究打ち合わせに必要な旅費を、30万円で予算を立てている。 研究関連図書の購入を、10万円で購入する予定である。
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