2012 Fiscal Year Research-status Report
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23593403
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
矢島 正栄 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (40310247)
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Keywords | 発達障害 / 保健師 / 子育て支援 |
Research Abstract |
平成24年度は、市町村保健センターにおける就学前の発達障害児の把握および子育て支援の実態を、組織的取り組みと個別支援の2側面から明らかにすることを目指した。 組織的取り組みについては、平成23年度に引き続き、発達障害児支援に関わる組織体制と職員の人数および職種、市町村が行っている発達障害児支援の内容と実績、地域の発達障害児に関する実態、地域の発達障害児支援における保健所、児童相談所、発達障害者支援センター、その他の関係機関との連携、発達障害児対策の推進の課題等に関するインタビュー調査を群馬県および青森県の6市町村を対象に実施した。その結果、発達障害児を対象とする2次的サービスにおいては、地域の専門医の協力が不可欠であるものの、その人材確保はいずれの保健センターにおいても不安定であることが新たに明らかになった。また、集団検診・集団指導よりも個別支援に重点を置いた活動を行っている市町村が見られ、個別支援の実態についても詳細を明らかにする必要が確認された。 個別支援については、発達障害児支援の経験を持つ保健師10人を対象に、対象児20人に対する支援に関するインタビュー調査を実施し、支援プロセスの構造化を試みた。その結果、児を把握してから支援の方向を定め、親の関わり方への助言・指導、家族関係調整、保育園・幼稚園等関係機関との調整、適切な療育支援の利用開始の支援等の支援プロセスが明らかになり、市町村における発達障害児支援においては、保健師の発達障害に関する専門的理解に基づいて継続支援の必要性を見極める能力、発達障害児支援の経験が少ない保育園、幼稚園等地域の関係者に対する学習機会の提供等、支援能力の高い地域づくりの能力、家族の精神面の支援や家族関係調整の能力の育成が課題であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の進捗状況は、市町村における発達障害児支援の組織体制および保健事業実施方法の把握については、概ね計画に従って進行した。さらに、調査の過程で、個別支援における課題への着眼の必要性が明らかになり、この点についての質的研究を行った。このことにより、市町村における課題が多方面から明らかになり、引き続き予定している全国の実態調査に向けて、調査項目の明確化が図られた。しかし、個別事例の検討を重点的に行ったために、当初予定していた全国の市町村保健センターに対する郵送調査の実施には至らず、次年度へ持ち越すこととなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度の分析結果を基に全国の市町村保健センター(1/2抽出)の発達障害児支援を担当する部署の保健師を対象に、発達障害児支援体制および具体的な支援状況に関する郵送調査を実施する。さらに、この結果を基に市町村保健センター側から地域の医療機関、保健所、児童相談所、発達障害者支援センターに求める連携・支援の内容を明らかにし、これに基づいて、全国の保健所(494か所)、児童相談所(201か所)、発達障害者支援センター(81か所)(平成22年10月現在)における発達障害者支援の実務を担当するリーダーを対象に発達障害児支援に関わる市町村保健センターおよび他の関係機関との連携の実態に関する郵送調査を実施する。 さらに、この結果から発達障害児支援の恒常的な連携体制がある地域を選定して視察を行い、先進地域における活動の詳細を明らかにする。これらの結果から連携システムの類型化と構築プロセスを分析し、市町村保健センターと医療機関、保健所、児童相談所、発達障害者支援センターの連携による発達障害児支援システムのモデルを提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費は、市町村保健センター(1/2抽出)、保健所(494か所)、児童相談所(201か所)、発達障害者支援センター(81か所)(平成22年10月現在)に対する郵送調査に係る郵送費、発送作業、データ入力補助者謝金、郵送調査用封筒、回収質問紙の整理用コンテナ、データ保存用外付けハードディスク、調査票作成・整理・分析のための文具等、先進地域の視察に伴う調査旅費に係るものである。郵送調査にかかる経費は、平成24年度に先送りして実施する内容であり、前年度の計画通り経費を充てる。また、視察調査に伴う経費は,当初の計画どおり使用する。
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