2013 Fiscal Year Annual Research Report
行政の組織文化(風土)が保健師の離職に影響を及ぼす構造
Project/Area Number |
23593412
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
井口 理 上智大学, 総合人間科学部, 助教 (10513567)
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Keywords | 行政保健師 / 行政組織文化(風土) / 仕事の要求 / 仕事の資源 / 離職意図 / JD-Rモデル |
Research Abstract |
【目的】行政の組織文化を「仕事の要求」と「仕事の資源」の視点で構成要素を明らかにし、Job-Demands-Resourcesモデル(JD-Rモデル)に基づいて離職意図との関連を検討する。 【方法】全国の行政組織に所属する常勤保健師2668人を対象に自記式質問紙調査を行い、構造方程式モデルにより離職意図に至る構造を検討した。 【結果】調査票の回収率は72.5%、有効回答率は66.2%であった。対象は22~63歳で平均41.0±9.8歳、平均勤務年数17.0±10.0年で、9.2%に離職意図があった。辞めたい理由は、体調1割、興味・やりがいを持てない2割、職場の人間関係1割であった。「仕事の要求」は〈仕事の量的・質的負担〉〈セクショナリズム〉など29項目10因子、「仕事の資源」は〈仕事のコントロール〉〈仕事の適性〉など54項目22因子で構成されていた。「仕事の要求」と「仕事の資源」が離職意図に至る構造はJD-Rモデルを支持し、バーンアウトしているほど離職意図が強かった。「仕事の要求」が大きく「仕事の資源」が小さいほどバーンアウトしていた。資源の中でも〈仕事の適性〉〈仕事の意義〉〈ポジティブなワーク・セルフ・バランス〉〈成長の機会〉の4つが、バーンアウトの分散の約6割を説明できる因子であった。 【考察】研究対象は、母集団の代表性という点で比較的偏りが少ない。保健師は、全国データと比較して「MCS(Mental component summary)」「社会生活機能」「活力」の健康認識が低く、「仕事の適性」「仕事の意義」等に関するストレスが高かった。ストレスの長期化でバーンアウトに至らないよう、適材適所の人員配置、仕事の目的と意義を認識しやすい職場づくり等の組織的な取組みが離職意図の軽減に有効と考えられる。
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Research Products
(3 results)