2011 Fiscal Year Research-status Report
家族システムに焦点化した保健指導プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
23593413
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
金子 あけみ 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80588939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 奈美 北里大学, 看護学部, 教授 (90311406)
大野 佳子 北里大学, 看護学部, 准教授 (20347107)
森 淳一郎 信州大学, 医学部, 講師 (20419401)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 保健指導 / カルガリー式家族アセスメントモデル / 保健指導プログラム / 介入研究 |
Research Abstract |
初年度は、糖尿病、メタボリックシンドロームが疑われる中高年の男性及び家族を対象とした保健指導に関する先行研究について国外ではPubMed,国内では、医学中央雑誌Web ver.5版、J DreamII及び厚生労働科学研究データベースによる4件のデータベースからシステマティック・レビューを行った。 国外の先行研究では、過去10年間の該当論文数は膨大であるが、前述のLimitsの条件下では5件にまで絞られた。 国内の先行研究では、「保健指導」は875件、平成20年(2008年)から開始された「特定保健指導」は134件ヒットし、DreamII検索において「保健指導」は402件、「特定保健指導」は82件であった。「生活習慣保健指導介入」に関する研究は、厚生労働科学研究の枠組みで多数見られるため、厚生労働科学研究データベースから検索したが、「家族」を対象とする研究は皆無であった。しかし、これらの研究成果において、保健指導に家族の構造や関係性が関連していることを示唆する内容は散見された。 このため当初計画では、実際の特定保健指導における会話記録を質的に分析することで、家族に焦点化した保健指導プログラムの検討材料を得ることとしていたが、その前に、先行研究のレビューに加え、既存の保健指導プログラムや広く市販されている保健指導に係るテキストの内容を吟味し、個人・家族をシステムと想定しうる指導場面での言葉かけ、指導内容、保健指導者側の意図、アセスメント等について抽出し、その傾向についてテキストマイニングにより把握することとした。 このことにより、効率的に家族に焦点化した保健指導プログラムの内容を特定し、保健指導内容と親和性の高いカルガリー家族看護モデルにおける施療的介入としての家族への問いかけ内容を、認知領域、感情領域、行動領域にわたり検討し、実際の場面で評価することしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「家族に焦点化した保健指導プログラムの開発」に向け、当初計画では、文献レビューの次の段階として、実践場面における会話記録の質的分析を行う計画であったが、さまざまな研究報告等を概観した結果、保健指導の対象者の特性及び保健指導者の指導方法等についても多様性に富んでいる実態が示唆された。 中でも、対象者である個人を家族システムの一部としてとらえる視点は、これまでの保健指導者が体系的に教育・研修等で学習していない可能性があることから、まず、保健指導者がどのような知識・技術に基づき保健指導を実施しているか、既存の保健指導プログラムや広く市販されている保健指導に係るテキストの内容を吟味し、個人・家族をシステムとしてとらえうる指導場面での言葉かけ、指導内容、保健指導者側の意図、アセスメント等について抽出し、その傾向を把握しておく必要性が高まった。 すなわち、保健指導に当たる保健師等がどのような理論等を用いて、どのようにアセスメントし、どのような言葉を用いて保健指導をしているか、そのプロセスや大凡の傾向性を理論的背景を踏まえた上で、具体的な状況(保健指導における会話記録の質的分析)について明らかにすべきと判断したため、計画を一部追加し、現在その作業を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
情報提供、動機づけ支援、積極的支援の対象別や対象特性ごとに、個人・家族をシステムとしてとらえる観点で、保健指導と親和性の高いカルガリー式家族アセスメントモデル(CFAM/CFIM)における施療的介入として、認知、感情、行動領域に働きかける問いかけを選定し、どのような問いかけが被験者の健康に関するビリーフを変容させうるか実際にプレテストを試みる。 また、先行研究から保健指導プログラムを実施する者が一定のスキルを身につける必要性が指摘されていたことから介入群の保健指導者の教育プログラムについて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの保健指導が具体的にどのように展開されてきたか、分担研究者(大野佳子/森淳一郎)とともに、特に個人・家族をシステムとして捉える視点で、既存データをテキストマイニングにより分析し、成果発表する。 家族に焦点化した保健指導プログラムの開発に向けたプレテストを実施し、本調査を見込んだ検討を行う。
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