2011 Fiscal Year Research-status Report
精神科に入院している発達障害者の地域生活へ向けた看護と他職種間の連携のあり方
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23593435
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 由理 名古屋大学, 医学部, 准教授 (50363916)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 精神看護 / 発達障害 / 地域ケア / 他職種連携 |
Research Abstract |
平成23年度は、発達障害児(者)の社会生活における適応へ向けた支援について、精神科、並びに保健、福祉、教育などの専門職間の連携のあり方を検討することを目的として、小学校の教諭を対象に半構造化インタビュー調査を実施した。これまでに担任として関わった発達障害のある児童の事例に基づいてインタビュー調査を行った結果、担任教諭は、発達障害のある児童への直接的な関わり、クラスメイトへの関わり、発達障害のある児童とクラスメイトの関係性への対応、並びに保護者への関わりを行っていた。 発達障害のある児童への直接的な関わりとして、【授業中にやることについて、具体的なルールを決める】、【本人と個別で話す機会をもって、児童の状況を把握する】、【日頃の関わりから、本人が落ち着くことを把握して個別的に対応する】などが挙げられた。発達障害のある児童とクラスメイトの関係性に対しては、【他の教諭と分担して本人とクラスメイトに対応する】、【本人がクラスメイトと一緒に活動できるように、クラスメイトに働きかける】ことなどを行っていた。また、保護者との関わりでは、【学校で起こったことを、保護者にその都度報告する】、【家庭訪問の際に、児童の学校と家庭での行動について保護者と話し合う】、【児童の服薬状況、特性や関わり方について保護者と話し合う】、【医療機関のチェックリスト等を用いて、学校生活の状況を定期的に保護者に報告する】、【通院後に保護者に学校に来てもらい、医療機関からの指示や対応などを共有する】ことなどが示された。担任教諭は、児童の学年による成長およびクラスメイトの関わり方の変化を把握し見守りながら、発達障害のある児童への直接的な関わりとクラスメイト全体に対して必要な介入を行っており、その中で、発達障害のある児童およびクラスメイトが成長していく状況が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、発達障害児(者)の早期退院および社会生活における適応へ向けた支援について、精神科病棟におけるケア、並びに保健、福祉、教育などの専門職との連携のあり方を多角的に検討することを目的としている。そのなかで、本年度行った半構造化インタビュー調査では、小学校における通常の学級の担任教諭が受けもった発達障害のある児童の事例に基づいて、担任教諭が行った発達障害のある児童の個別性をふまえた直接的な関わり、クラスメイトへの関わり、発達障害のある児童とクラスメイトの関係性の発展とそれらへの見守りおよび介入、並びに発達障害のある児童の保護者への関わりと医療機関の関わりが明らかになった。これらの結果により、発達障害のある児童が社会生活に適応していくための、早期の段階での家族や学校の教諭による関わりや、医療機関との関わりなどが明らかになったと考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、現在のところおおむね順調に進展している状況であり、研究計画に沿って、精神科病棟における発達障害児(者)の早期退院および社会生活への適応に向けたケアについて、精神科看護師を対象とした調査を進める。国内および海外における発達障害児(者)の早期退院や社会生活に関わるケアについて、文献レビュー等に基づいて情報を収集していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費を使用して、研究計画に沿って、精神科病棟における発達障害児(者)の早期退院や社会生活に関わるケアについて調査、並びに国内および海外における発達障害児(者)やその家族への上記のケアに関する文献レビューを行う。
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