2011 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者のその人らしさを保証するコンフォートケアモデルの開発
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23593437
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原 祥子 島根大学, 医学部, 教授 (90290494)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症ケア / ガイドライン / 高齢者 |
Research Abstract |
介護老人保健施設に適用できる認知症高齢者のコンフォートを増進するケアモデルを開発するために,研究課題1「認知症高齢者のその人らしさを保証するコンフォートケアガイドラインの開発」に取り組んだ. 原らの先行研究(原他,2009;Hara,et al.,2011),「認知症高齢者への環境支援のための指針(PEAP日本版3)」,認知症ケアに関する基本文献を参考に,認知症ケアの専門家らによる討議を行い,その人らしさを保証する(コンフォートを増進する)質の高い認知症ケアの仮説的な条件設定についての十分な検討を通して,介護老人保健施設の看護・介護職員における認知症ケアの要素29項目を抽出した.さらに,抽出された各項目について,ケアの焦点は何かという視点に基づいてカテゴリー化を行い,6領域に集約した.具体的には,「安心を高める環境づくり」の領域に6項目,「生活の継続性への支援」の領域に4項目,「その人の潜在能力を引き出す支援」の領域に6項目,「安全に社会とのつながりをもてる暮らしへの支援」の領域に4項目,「家族との協働を含めた一貫したケア」の領域に6項目,「家庭での療養への移行に向けた支援」の領域に3項目である. 上記の29項目(6領域)を「認知症ケアガイドライン」とし,その構成概念妥当性ならびに信頼性について検討することを目的に,質問紙調査を実施した.全国から無作為抽出した介護老人保健施設のうち14施設の調査協力を得て,常勤の看護・介護職員594名に調査票を配布し,396通を回収(回収率66.7%)した.有効回答数は380通(有効回答率64.0%)である.調査内容は,認知症ケアの実践頻度(考案した「認知症ケアガイドライン」で測定),看護・介護職員のコンフォート(仕事満足度),施設のアウトカム(在宅復帰率,平均在所日数)である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度研究実施計画の通り,「認知症ケアガイドライン」の考案,その検証のための質問紙調査の実施・回収・データ入力まで終了し,さらに平成24年度の実施計画に挙げているデータの統計解析に取り組みつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
1.入力データの統計解析をすすめる.(1)考案した「認知症ケアガイドライン」の構成概念妥当性の評価については,構造方程式モデリングを用いた確証的因子分析によって検討し,信頼性についてはクロンバックのα信頼性係数を算出して検討する.(2)ガイドラインに即した認知症ケア実践が看護・介護職員のコンフォート(仕事満足度)や施設のアウトカム(在宅復帰率,平均在所日数)に影響するといった仮説(因果モデル)を設定し,その因果関係モデルのデータへの適合性を構造方程式モデリングで解析する.2.研究課題2「コンフォート理論に基づいて,ケアリングの方法に則った介入が認知症高齢者のコンフォートの増進を導き,さらに健康探索行動が強化されるというモデルを設定し,その実証的な検討を行う」に取り組む.(1)研究者および介入施設のケアスタッフ2~3名がケアリングの方法に則った介入(回想法,タクティールケア等)に関する研修を受け,介入施設のケアスタッフ全体への講習会を実施する.(2)コンフォートケアの実施(介入)方法に関するプロトコールを作成するとともに,施設におけるケアスタッフと認知症高齢者の日課として組み込まれるように施設管理者およびケアスタッフと協議し,プログラム化する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は,調査データの入力を研究者本人で行ったことなどにより,予定していた人件費・謝金を支出することがなかったため,次年度に使用する研究費が生じた. 次年度は,データの統計解析(資料整理)をすすめるための人件費・謝金,及び,認知症の介入に関する各種研修を受けるための受講料や旅費を中心に研究費を使用する計画である.
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