2012 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者のその人らしさを保証するコンフォートケアモデルの開発
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23593437
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原 祥子 島根大学, 医学部, 教授 (90290494)
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Keywords | 認知症ケア |
Research Abstract |
研究課題1「認知症高齢者のその人らしさを保証するコンフォートケアガイドラインの開発」に取り組み、ケアスタッフの認知症ケア実践と施設のアウトカム(在宅復帰率・平均在所日数)との関連についても検討した。平成23年度に実施した質問紙調査によるデータを分析し、「安心を高める環境づくり」「生活の継続性への支援」「その人の潜在能力を引き出す支援」「安全に社会とのつながりをもてる暮らしへの支援」「家族との協働を含めた一貫したケア」「家庭での療養への移行に向けた支援」の6因子・29項目で構成した介護老人保健施設に適用できる認知症ケアガイドラインを開発した。この認知症ケアガイドラインにそったケアスタッフの実践は、平均在所日数とは関連しないが、在宅復帰率を高くすることが示唆された。 次に、研究課題2「認知症高齢者に対するケアリングの方法に則った介入がコンフォートの増進を導き、健康探索行動(認知レベルの改善等)が強化されるというモデルを設定し、その実証的な検討を行う」に取り組んだ。介護老人保健施設入所中の認知症高齢者の入浴行動過程においてローズ水を用いた芳香療法(ケアリングの方法に則った介入)を行い、感情の安定性を検討した。10名を対象とし、芳香を用いない入浴(A1)1回の後に、芳香を用いた入浴(B)を1回、その後に芳香を用いない入浴(A2)を1回設けた。脱衣室と浴室における一連の入浴行動過程を2分毎に観察し、認知症高齢者の感情を「happy」「neutral」「unhappy」に分類し、「happy」数と「unhappy」数の差を「穏やかさスコア」とした。(A1)と(B)、そして(A2)において分散分析・多重比較を行った結果、(A1)と(B)の間、(A2)と(B)の間で有意差が認められ、ローズ水を用いた芳香療法は、認知症高齢者の入浴時の感情を穏やかにする効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題2については、産学連携センターを介した共同研究としてもすすめることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題2について、認知症高齢者に対するケアリングの方法に則った介入として「ライフストーリー・アプローチ」の実施と評価に取り組む。この実施については、施設におけるケアスタッフと認知症高齢者の日課として組み込まれるように施設管理者およびケアスタッフとの協議・調整を行ったうえで、介入・評価研究を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ケアリングの方法に則った介入としての芳香療法は、研修等を受講することなく実施することができたので、予定していた認知症ケア研修受講料を支出することがなかったために次年度に使用する研究費が生じた。 次年度は、「ライフストーリー・アプローチ」を活用した介入・評価研究を実施するとともに、これまでの成果を発表するための旅費に研究費を使用する。
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Research Products
(7 results)