2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者のその人らしさを保証するコンフォートケアモデルの開発
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23593437
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原 祥子 島根大学, 医学部, 教授 (90290494)
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Keywords | 認知症ケア |
Research Abstract |
研究課題2「認知症高齢者に対するケアリングの方法に則った介入がコンフォートの増進を導き、健康探索行動(認知レベルの改善等)が強化されるというモデルを設定し、その実証的な検討を行う」に取り組んだ。介護老人保健施設入所中の認知症高齢者を対象に写真を用いた回想法(グループ及び個人)を実施し、(1)参加高齢者の認知機能に及ぼす影響、(2)個人回想法に関わった介護士の認知症高齢者ケアに対する認識の変化、について検討した。(1)回想法の前後にTDASプログラムで認知機能を評価した結果、回想法の前後でTDAS得点に有意差は認められなかったが、個別の点数変化をみると、点数が低下(認知機能が改善)した人は3名で、1名はほぼ横ばいであった。このことから、写真を提示しながら行う回想法を、グループ回想法と個人回想法を組み合わせて実施していくことは、認知機能の維持・改善の可能性があることが示唆された。(2)個人回想法を行った介護士に、回想法の前後において、参加高齢者をどのように捉え、関わっているかについて半構成的面接を実施し、介護士の認識の変化をあらわしている特徴的な発言を抽出し、分類整理した。その結果、介護職員の認知症高齢者ケアに対する認識の変化として15の内容が見出され、“その人がよく分かる”“その人への関心が高まる”“日常のコミュニケーションが円滑になる”“関わることの喜び・楽しさを実感する”という4つのカテゴリーに分類された。 また、写真を用いた回想法を実施する際に、高齢者と介護者が共同でライフストーリーを生成するにあたって、そのきっかけとなる人生のキーワードを抽出するシステムの開発と、そのシステムを活用して蓄積された会話データ・写真提示履歴・キーワードリストから簡易ライフストーリーブックを作成することにも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、新産業創出研究会(ちゅうごく産業創造センター)の助成を受けた「認知症高齢者の語りを支援するスマートライフストーリーシステムの開発」と合わせてすすめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ライフストーリー・アプローチ(写真を用いた回想法)において試作した、認知症高齢者がライフストーリーを生成するきっかけとなるキーワードを自動抽出するシステムと、システム活用によって作成される簡易ライフストーリーブックについて、有用性の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ケアリングの方法に則った介入としての回想法は、研修等を受講するきおとなく実施することができたので、予定していた認知症ケア研修受講料を支出することがなかったため。また、「認知症高齢者の語りを支援するスマートライフストーリーシステムの開発」について、平成25年度 新産業創出研究会(ちゅうごく産業創造センター)による助成があったため。 主に、これまでの研究成果を発表するための旅費、研究全体(研究課題1および研究課題2)の報告書作成と配布に研究費を使用する。
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Research Products
(4 results)