2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者のその人らしさを保証するコンフォートケアモデルの開発
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23593437
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原 祥子 島根大学, 医学部, 教授 (90290494)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者を対象に実施したライフストーリー・アプローチ(写真を用いた回想法)の認知機能への影響について検討した。回想法に参加した高齢者4名の参加前後の認知機能をTDASプログラムで評価し、回想法前後におけるTDASの点数の差をWilcoxonの符号付き順位検定による解析を行った結果、回想法前後での差は認められなかった。しかし、個別の点数の変化をみると、4名中3名に認知機能の改善傾向が示され、1名はほぼ横ばいであり、認知機能の維持・改善の可能性があることが示唆された。 また、ライフストーリー・アプローチ(写真を用いた回想法)において試作した、認知症高齢者がライフストーリーを生成するきっかけとなるキーワードを自動抽出するシステムを活用した際のライフストーリー導出プロセスを解析した。本システムを用いて実施した会話のトランスクリプトを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果、17の概念、7つの<カテゴリー>を生成した。個人回想法において、ケア担当者は<本システムによる写真提示>を行い、それをきっかけとして<問いかけ>、または<高齢者の反応を観察>し、ライフストーリー導出が可能であるか困難であるか<高齢者の反応に基づく判断>をする。ライフストーリー導出が可能である場合、さらに<問いかけ>、または<内容の繰り返し・推測>を行い、<ライフストーリーを共有>する。関連するさらなるライフストーリーを引き出すため<話題転換>を行うこともある。ライフストーリー導出が困難である場合、<問いかけ>の仕方を変えて再び<高齢者の反応を観察>し、反応に変化がなければ<話題転換>を行い、別のライフストーリー導出を試みる。話題を変える場合、ケア担当者は選択画面にある写真を見て、高齢者が反応を示しそうな写真を選択し、<本システムによる写真提示>を行う、というプロセスを見出した。
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