2011 Fiscal Year Research-status Report
在宅要介護高齢者の排泄機能と介護力のアセスメントに基づく援助方法
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23593442
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田中 久美子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00342296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶山 啓子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50214713)
形上 五月 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40549317)
人見 裕江 近大姫路大学, 看護学部, 教授 (30259593)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 膀胱機能 / 排泄行動能力 / 介護力 / 在宅要介護高齢者 / アセスメント |
Research Abstract |
尿失禁を有する高齢者に関する国内文献を検討した。結果、施設高齢者を対象とした実態調査がほとんどで在宅要介護高齢者を対象としたものはごく少数であった。施設高齢者を対象とした実態調査は、要介護高齢者の半数以上が尿失禁を有することを明らかにしていた。また、尿失禁を有する高齢者の看護に関する文献は実態調査に比べ非常に少なく、特に在宅要介護高齢者を対象としたものは極めて少数であった。施設高齢者を対象とした看護の文献では、排尿日誌を活用し膀胱機能をアセスメントすることが重要であると述べられており、在宅要介護高齢者に対しても排尿日誌を活用し膀胱機能のアセスメントし援助することが重要であると推測された。このような現状から、尿失禁を有する在宅要介護高齢者の現状と在宅における排尿管理について明らかにする必要があると考えた。そこで、在宅要介護高齢者の排尿方法の現状と訪問看護ステーション、及び居宅介護支援事業所の排尿管理の現状を明らかにすることを目的として自記式質問紙調査を実施した。対象はA県の訪問看護ステーション(以下、訪看)93箇所、居宅介護支援事業所(以下、居宅)417箇所の管理者とし、調査期間は平成23年11月~平成24年1月であった。結果、有効回答数は、訪看は41箇所、居宅は139箇所であった。居宅において、事業所が把握している利用者の日中の排尿方法のうち尿失禁を有していると推測される「パットを併用してトイレで排尿」と「オムツに排尿」を合わせると約6割で、尿失禁を有する在宅要介護高齢者は高率であることが推察された。排尿管理に必要な情報として、訪看、及び居宅ともに「尿意の有無」と「家族の介護力」を高率で選択しており在宅の排尿管理において重要なアセスメント項目であると推測された。排尿日誌の活用は、訪看、及び居宅ともに割合は低く、高齢者自身の排尿機能のアセスメントの必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、在宅要介護高齢者の排泄状態、排泄行動能力および介護力の関係から排尿障害の実態を明らかにする目的で、在宅要介護高齢者と家族を対象として質問紙に基づいた聴き取り調査を実施する予定であった。しかし、文献検討の結果、尿失禁を有する在宅要介護高齢者を対象とした実態調査、および看護に関する文献は極めて少ない現状であることが明らかになった。本研究は、排尿障害を有する在宅要介護高齢者の割合と現状を明らかにした後、排尿障害の原因をアセスメントし在宅における排尿ケアの方法を考察する予定である。したがって、在宅における排尿管理の現状を把握することは重要であると考えた。そこで、当初の研究計画を修正し、在宅要介護高齢者の排尿方法の現状と訪問看護ステーション、および居宅介護支援事業所の排尿管理の現状を明らかにすることを目的とし、訪問看護ステーション、および居宅介護支援事業所の管理者を対象とした質問紙調査を先に実施することとした。この調査結果では、尿失禁を有する在宅要介護高齢者の割合は高いことが推察でき、本研究の意義が確認できた。また、在宅における排尿管理において重要なアセスメント項目は、「尿意の有無」と「家族の介護力」で、研究計画作成時に推測していた家族の介護力が強く影響していることに裏付けを得ることができた。また、在宅において排尿日誌の活用は少ないことが明らかとなった。この結果から、引き続き実施する予定の在宅要介護高齢者と家族を対象とした質問紙の内容をより精選することができると考える。現在、質問紙を作成中であり概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、在宅要介護高齢者の排泄状態、排泄行動能力および介護力の関係から、排尿障害の実態を明らかにする目的で、在宅要介護高齢者と家族を対象に質問紙に基づいた聴き取り調査を実施する予定である。現在、質問紙を作成中で先に実施した調査結果を活かし、尿意の有無と家族の介護力に関する項目に関し、特に慎重に項目を検討しており8月の完成を目指している。聴き取り調査は9月以降に予定しており、対象者は、先に実施した訪問看護ステーション、および居宅介護支援事業所を対象に実施した質問紙調査の折に協力を依頼しており、52か所の事業所から調査協力の回答を得ている。 引き続き、聴き取り調査を実施した対象者の中から排尿障害を有する対象者の排泄行動能力および膀胱機能、排泄行動能力と介護力の関係から排泄障害の原因を明らかにした援助方法を考察する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は訪問による聞き取り調査を実施する予定である。訪問先は、先に協力の回答を得た事業所でA県下全域にわたり広域になる。また、引き続き計画している対象者の膀胱機能や排尿時間を調査するために頻回に対象者宅に訪問する予定である。そのため、申請代表者や共同研究者が対象者宅へ訪問するための交通費が必要になる。また、対象者の膀胱機能や排尿時間を調査するために必要な消耗品を計上した。特に非襲浸的に膀胱内尿量を測定できるブラダースキャンは、高齢者に多い溢流性尿失禁のように治療を要する尿失禁を早期に発見する必要があるために欠かすことができない。研究が円滑に進められるようにするとともに、得られた情報は、個別にその都度入力できるようにパソコン、プリンターなどを携帯する予定であり、これえらの物品についても購入予定である。
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