2012 Fiscal Year Research-status Report
看護師の臨床判断を基盤とした脳卒中患者の移乗時見守り解除のアセスメント指標の開発
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23593455
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
高柳 智子 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (90313759)
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Keywords | 脳卒中 / 移乗 / 回復期 / 臨床判断 / アセスメント指標 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熟練看護師の臨床判断を基盤に作成した、回復期にある脳卒中患者のベッド・車椅子間移乗において最小限の身体介助である見守りを解除し自立への移行を意思決定する際のアセスメント指標の有効性を検証することである。2年目である今年度は、初年度の研究成果をもとにアセスメント指標の修正を行った。次いで、前回の研究で課題として残っていた評価者間信頼性ならびに評価者内信頼性の検討を行った。 1. 評価者間信頼性の検討 回復期にある脳卒中患者が多く入院し、リハビリテーションを中心とした入院加療を行っている一般病棟ならびに回復期リハビリテーションにて、連続した2日間それぞれ1日ずつ日勤帯で、対象患者を受け持った看護師2名にアセスメント指標修正版の記入を依頼し、指標項目別にκ係数を算出した。その結果、9指標項目中、2項目においてκ係数が0.60を下回っていた。この結果から、一致率の低かった指標項目の再考が示唆され、今後検討を進めていく。 2. 評価者内信頼性の検討 1週間間隔のアセスメント指標の記入を依頼した先行研究において、同一看護師が2回連続して評価者となっていた調査票の二次分析を行い、各指標項目のκ係数を算出した。その結果、κ係数が0.60を下回ったのが1項目あり、ADL変化が著しい回復期において臨床適用するうえで、評価の間隔は1週間以内が適切と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
評価者間信頼性のデータ収集の際に、移乗時の見守りを行っている患者と移乗自立している患者のアセスメント指標修正版の記入を依頼し、既知グループ法による妥当性の検証も併せて行う予定であった。しかし、対象施設において、車椅子を主たる移動手段としている患者に対しては退院まで移乗時の見守りを続ける方針の施設が大半であり、既知グループ法に使用する移乗自立群のデータを得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究において、転倒を危惧して退院まで見守りを続ける方針の病棟や、見守り解除の意思決定に看護者が関与していない病棟も少なくないことが示唆されたため、回復期リハビリテーション病棟の全国調査にてアセスメント指標の臨床適用可能性とともに上記の実態も含めて検討する。さらに、先行研究にて、患者のリスク認知と他者への援助依頼が見守り解除後の転倒発生と関連していたことから、移乗時の見守りを行っている患者におけるリスク認知と援助依頼の思いについて、患者へのインタビューから明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究成果を学会発表し、看護学研究者ならびに臨床家との意見交換を行うために国内旅費を使用する。また、全国調査のための郵送費や封筒等の文具、患者インタビューのための交通費、謝礼品、逐語録作成の役務費を予定している。
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