2011 Fiscal Year Research-status Report
通所サービスにおける家族介護者の介護適応を促す協同的ケアモデルに関する研究
Project/Area Number |
23593465
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
檪 直美 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (80331883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90382431)
横尾 美智代 活水女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00336158)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 家族介護者 |
Research Abstract |
平成23年度の研究目的は介護適応能力評価尺度の開発であった。まず尺度開発のための質問項目の構成と内容を考える際に、当事者である家族介護者へのインタビューを実施し、その質的研究結果を活用することで適正な質問紙作成に至った。1.文献検討:家族介護者の介護対処行動や介護肯定感形成のための関連要因、介護力をキーワードとして、先行研究について国内外からの文献を集め、文献検討を丁寧に行った。2.質問紙のアイテムプール:質問項目の構成の段階で、文献検討は勿論のこと、当事者である家族介護者数名への2度にわたるグループインタビューと個人インタビューを実施した。このインタビュー内容について質的帰納的に研究者で分析を行ない、カテゴリ化した内容を質問項目に反映した。この段階では当該大学の研究倫理委員会の承認を得て、倫理的配慮を保持し実施した。3.学会発表:グループインタビュー、個人インタビュー結果について「介護肯定感形成における家族介護者の対処行動の特徴」第16回日本在宅ケア学会、東京、2011年3月。「家族介護者の介護適応プロセスに関連する要因」第16回日本看護研究学会、大分、2011年3月。以上2回の発表を行った。4.質問項目の妥当性と信頼性の担保:質問項目構成の段階で4度にわたり、家族介護者へのプレテストを実施した。その結果を研究者で分析し修正を加えていった。5.質問紙作成:家族介護者、要介護者の状況、介護状況、看護支援ニーズ調査、介護力調査の質問紙項目の作成に至った。印刷業者に委託し見やすいアンケート用紙が完成した。6.質問紙配布:家族介護者への回答の負担及び、回収率をあげるため、定期的に訪問が可能で、相談援助をおこなうケアマネからの聞き取り調査も依頼した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では平成23年度に介護適応能力評価尺度の質問紙調査の実施と分析までとしたが、質問紙の作成と依頼までとなった。1.文献検討の段階で、国内では看護分野より、心理学系や社会学系の先行研究が多く、海外からの文献取り寄せを行った。また看護分野における家族介護者への支援についての文献が少なかったため、研究の概念枠組みを改めて研究者で検討するために時間を要した。2.質問紙の項目が非常に重要であり、丹念に検討を行ったためである。まず家族介護者に対するインタビュー調査で得たデータを質的に分析し、得られたカテゴリを尺度の質問項目に反映した点、さらにプレテストを4回にわたり実施した点、が時間を要した。3.質問紙作成後、より見やすく回答しやすいよう印刷を業者に委託した。また回収率をあげるための方法として家族介護者への手渡しのみでは、高齢の家族介護者への回答が困難であるため、居宅サービス施設管理者の意見を聴取し、最も効果的な方法を検討した。その結果家族の信頼関係があり、相談援助を行うケアマネによる聞き取り調査が有効であると判断し、居宅介護支援事業所への調査依頼を行うことになった。以上の3点より、予定より研究の進捗がやや遅れた。しかし、より適正な質問紙の作成と回収率が高められる方法を見いだせたことは、大変意義が大きかったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年4月現在、質問紙の郵送および聞き取り調査の準備を行っている段階である。6月末までの回収とし、その後分析を解析ソフト(SPSS20.0J)で行う予定であり、機器の準備は整っている。H24年4月~5月:無記名質問紙調査を実施する。具体的方法として介護 支援事業者およびケアマネ連絡協議会に依頼し、研究趣旨の説明を行う。同意を得られたケアマネに依頼し、居宅訪問時に質問紙を直接手渡していただく。ただし家族介護者ご本人の記入が困難である場合には聞き取り調査を実施していただく。調査後は返信用封筒に厳封し研究代表者に郵送する。6月~7月:アンケートの回収、8月~9月:統計的解析を行なう。介護適応能力尺度構成および、看護支援ニーズ尺度を構成する。さらに介護適応能力と看護支援ニーズに関連する因子を検証し、さらにクラスター分析でグルーピングを行う。10月~12月:その結果よりグルーピングされた家族介護者の介護適応能力の段階と介護状況や家族介護者、要介護者の状況より介護特性をとらえ看護ニーズを明らかにする。1月~3月:家族介護者、通所サービス看護師、専門職者、共同研究者による合同研修会を開催し、結果を踏まえた家族介護者への看護支援の方法について提案し、意見交換を行う。 平成25年度は、家族介護者への看護支援について通所サービス事業所の看護師により意見交換会を実施し研修会のプログラムを作成する。複数回の研修会と意見交換会を実施し、通所サービスでの看護師の意識改革と実効性のある支援へと具現化していく。さらに通所サービスでの看護師による支援モデルを構築し、モデルケースを実践しながらその評価と修正を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度はアンケートの回収率を向上させるための聞き取り調査や施設依頼が十分に達成出来ていないため、これにかかる交通費が27,301円繰越金となった。H24年度はアンケートの回収率の向上に取組みできる限り多くのデータを収集することに努める。具体的には、家族介護者は高齢であるため、研究の趣旨や記入方法が書面では伝わりにくく自記式ではアンケートへの記入が困難であることが予測される。そのため各々の担当であるケアマネを通して説明と聞き取り調査を実施する予定であり、アンケートの配布・回収等を行う研究協力者への人件費が必要である。2000名への居宅への訪問と聞き取り調査に要する人件費・謝金として300,000円(内訳:2000円(時給860円+交通費)×3日×50人)を計上する。H23年度繰越金として27,301円は人件費に加算する。研究代表者、研究分担者もアンケート調査依頼のため、複数の事業所や施設へ依頼に行くための交通費として120,000円(内訳:一人当たり30,000円×4人)を計上する。またその他としてアンケート及び返信用封筒の印刷代(2000部)100,000円、通信費(切手)160,000円は必要となる。H24年度の必要経費として合計680,000円でその他会議費等で50,000円程度必要となり、H24年度の直接経費を予定通り使用する計画である。
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