2012 Fiscal Year Research-status Report
通所サービスにおける家族介護者の介護適応を促す協同的ケアモデルに関する研究
Project/Area Number |
23593465
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
檪 直美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (80331883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90382431)
横尾 美智代 西九州大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00336158)
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Keywords | 家族介護者 / 介護力 / 看護ニーズ |
Research Abstract |
平成24年度の研究目的は、介護力向上のための看護支援の在り方を明らかにすることにあった。具体的には1.家族介護者の介護力の因子構造を明らかにし介護力に関連する要因を検討する。2.家族介護者の潜在的な看護ニーズを明らかにするため、看護ケアニーズ測定尺度を構成しその看護ケアニーズと介護力との関連を検証する。3.家族介護者が介護力を獲得するために必要な看護職の介入法と多職種との連携について検討することであった。 調査方法は、平成24年度に作成した質問紙調査を家族介護者1200名を対象に実施し有効回答数661票(有効回収率55.1%)を得た。家族介護者の属性は男性130人、女性519人、平均年齢は64.1(SD11.2)歳であった。要介護者の属性は、男性208人、女性427人、年齢:83.0(SD8.5)歳。介護度別では要介護1は25.5%が最多、認知症についてあるは61.3%、認知症はないが33.1%であった。在宅継続意思と肉体的・精神的・経済的負担感との関連は、肉体的及び精神的負担感において有意差があり関連があった。認知症の程度と肉体的・精神的・経済的負担感との関連も同じく、肉体的及び精神的負担感との関連があった。介護力因子構造については6因子(要介護者への愛情を感じる力、介護ケア実践力、自己の健康管理力、介護生活からの転換力、周囲の援助活用力、感情表出力)が抽出され、全体のα係数は0.93で信頼性が確保された。また看護ニーズについてはクラスター分析を行い階層型分類法により6つに分類した。その結果、嚥下能力向上への援助、要介護者の状態観察、排泄と食事への援助、移動動作と関係性の援助、介護保険に関する情報提供、医学的視点からの知識と技術の提供に分類され、さらに介護力の因子と看護ニーズとには関連がみられた。このことより介護力を引き出すための看護支援の在り方の示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は家族介護者の介護力を高め介護適応を促すためにはどのような支援が必要であるかを検討した。介護力を獲得するプロセスとしての概念枠組みを提起し、それにそって質問紙調査の実施と解析を順次行っていった。とくに対象者は高齢の家族介護者も多く回収率を高めるための方策を講じた。まず居宅介護支援事業所および在宅サービス事業所を直接訪問し、研究の主旨等を説明したのち同意を得られた事業所のケアマネージャ、介護スタッフより家族介護者へ研究の目的及び倫理的配慮について説明を行い直接手渡しを依頼した。自記式が困難な場合は聞き取りを実施したことにより、661票(55.1%)の高い回収率が得られた。この高い回収率により、介護力の因子構造として6つの因子を明らかにすることができ説得力の高い因子の抽出に成功した。また看護ニーズの分類に関してはクラスター分析を実施し6つに分類することができ、潜在的看護ニーズが明らかとなった。解析ソフトSPSS20.0JforWindowsやPCの準備も整っていたため、データ入力が迅速に行え、解析も順次実施していくことができた。 調査の実施と分析はかなり進めることができ、研究目的であった介護力の因子構造および潜在的看護ニーズの分類について実施できた。また介護力と潜在的看護ニーズに関連している要因(家族介護者の特性、要介護者の特性、介護状況)についても明らかとなり介護力を向上させるための看護支援の在り方について示唆を得ることができた。以上の結果より概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年4月現在、既に質問紙調査のデータ入力は終了しデータ解析において一定の結果は得られた。さらに5月~6月:因子構造が明らかになった介護力の6因子とクラスター分析により分類された看護ニーズについてその関連を明らかにし、共分散構造分析によりパス図を作成し、その因果関係の構造を明らかにする。7月~8月:この解析結果をもとに本研究の目的である介護力を引き出し介護適応していくための看護支援について研究者および家族会、多職種参加による検討会を開催する。その意見を踏まえ、質問紙調査の結果から得られた看護支援について実行可能な具体的方法について明らかにする。9月~12月には家族介護者の介護力と看護ニーズ違いに応じて、通所サービスにおける看護師を中心とした協同的介入のできる家族介護者への支援について検討を行う。とくに介護力が低く看護ニーズが高い家族介護者及び介護力が低く看護ニーズも低い二つのタイプの家族介護者についての看護支援モデルの開発を行う。1月~2月:開発したケアモデルを現場の看護師を中心として現在介護を担う家族介護者へ実践し、モデルケースとして評価していくことで家族介護者への支援方法を明らかにしていく。3月:3年間における研究成果の報告書作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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