2012 Fiscal Year Research-status Report
標準モデル栄養バランスソフトを用いた高齢者糖尿病在宅療養者と家族への食事指導
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23593469
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Research Institution | Hirosaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 厚子 弘前医療福祉大学, 保健学部, 准教授 (20320608)
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Keywords | 高齢者者糖尿病在宅療養者 / 栄養バランスソフト |
Research Abstract |
研究者が開発した栄養バランス管理装置及び栄養バランス管理プログラムは標準栄養バランス表をコンピュータ化したものであり、対象者の生年月日を入力すると標準的な運動量に準じた食事摂取エネルギーにおける栄養バランスの分析ができる。対象者に分りやすく視覚に訴えるために、食品材料(肉・魚・たまご・牛乳(乳製品)・豆(豆製品)・緑黄色野菜・淡色野菜・果物・穀類・油・砂糖の11項目)をそれぞれ該当する食品材料をイラストで示している。それぞれの食品材料の3日間におけるモデルとなる食品摂取頻度は白丸とし、摂取した食品材料または献立名を入力すると黒丸に変換される。更にモデルバランスよりも多く摂取した場合は赤丸で示される。それぞれの食品材料摂取頻度(モデル比1に対する割合=%)が円グラフで示され、食品摂取の偏りがより分りやすいようになっている。入力に必要な時間は約15分である。このソフトは2013年5月に特許(特許第4987042号)を取得した。 当該年度は地域包括支援センターの介護予防教室に参加している高齢者約100人を対象とし、肥満(BMI25≧)、普通(18.5≦BMI<25)、やせ(BMI<18.5)における食品摂取頻度を分析し、肥満と運動習慣、食習慣などの生活習慣との関連についてまとめた。その結果、肥満者は食品摂取頻度が有意に多く、運動習慣には差がなかった(Yukoh Yaegash, Atsuko Satoh, et al. (7人中2番目)Diets obese and non-obese older subjects.Health, 5, 361-363, 2013.)。従って、食事摂取ポイントを明確に表した食事コントロール方法は高齢者肥満改善のキーポイントであると考えられ、標準モデル栄養バランス表を用いて食事内容を分析することは高齢者の肥満改善に有用な方法であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.【特許取得】研究者が開発した栄養バランス管理装置及び栄養バランス管理プログラムは2013年5月に特許(特許第4987042号)を受けた。この業績をもとに多くの糖尿病療養者への介入が期待できる。2.【標準栄養バランス表ソフトのコンピュータープログラムの改良】標準栄養バランス表ソフトにはすでに4000件の食事内容が内蔵されているが、更に入力食品項目の増大を図り2万件を目指している。平成24年度に把握できた新たな献立内容や食品名を入力し、入力データを大幅に増やし、プログラムを再編成する。平成25年度は仕様勝手の改良、画面の拡大など被験者により分りやすい表示の工夫を行なう。3.【要支援状態の高齢者を対象にした食事摂取頻度調査】地域包括支援センターの介護予防教室に参加している高齢者約100人を対象とし、肥満(BMI25≧)、普通(18.5≦BMI<25)、やせ(BMI<18.5)における食品摂取頻度を分析し、運動習慣、食習慣などの生活習慣との関連についてまとめた(Yukoh Yaegash, Atsuko Satoh, et al. (7人中2番目)Diets obese and non-obese older subjects.Health, 5, 361-363, 2013.)この結果、その結果、肥満者は食品摂取頻度が有意に多く、運動習慣には差がなかった。食品摂取品目のうち特に砂糖が多く、砂糖の接種頻度鵜をコントロールすることが、肥満予防のキーポイントであると考えられた。4.【肥満及び糖尿病の在宅療養高齢者への食事指導】平成24年度に引き続き、食事指導に取り組む。肥満及び糖尿病在宅高齢者への食事指導を1か月に一度、6か月間行う。また、6か月間の食事指導を終了した高齢者については更に6か月間追跡調査を行う。被験者の身長・体重測定、血液検査は平成24年度と同様に医師の協力を得る。
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Strategy for Future Research Activity |
1.【標準栄養バランス表ソフトのコンピュータープログラムの改良】 標準栄養バランス表ソフトにはすでに4000件の食事内容が内蔵されているが、更に入力食品項目の増大を図り2万件を目指す。更に仕様勝手の改良、画面の拡大など被験者により分りやすい表示の工夫を行なう。2.【web化】標準栄養バランス表ソフトのコンピュータープログラムをweb化し、より多くの人が標準栄養バランス表ソフトを使用できるようにする。栄養バランスコントロールは特に肥満、糖尿病、心臓病の人たちにとって重要な課題であるが、特に高齢者は摂取エネルギー量の指導では具体的な摂取方法が理解しにくい。糖尿病は将来の脳血管疾患、認知症につながる疾患であり、糖尿病を悪化させないことが必要である。ソフトをweb化することにより、より多くの人が栄養バランス表を利用できる。このソフトは必ずしも専門的な知識を必要とず、食品名を入力するだけで栄養バランスが自己分析できる。つまり、従来の食事指導を受けるという概念から脱却し、自己分析、自己完結できることを最大の特養とする。3.【肥満及び糖尿病の在宅療養高齢者への食事指導】平成24年度に引き続き、食事指導に取り組む。肥満及び糖尿病在宅高齢者への食事指導を1か月に一度、6か月間行う。また、6か月間の食事指導を終了した高齢者については更に6か月間追跡調査を行う。被験者の身長・体重測定、血液検査は平成24年度と同様に医師の協力を得る。加えて治療費の推移を検討し、介入によってインシュリン使用が軽減するかなど、経済効果を合わせて検討する。4.【学会発表】Diets obese and non-obese older subjects. Health, 5, 361-363, 2013. の内容を第33回看護科学学会にて発表する。また、Healthに今年度の成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.【プログラム作成に関する費用】1)単純化した標準栄養バランス表をもとに被験者の食事表から食品交換表と食品成分表をもとに黒丸をコンピューター入力するためのプログラム作成費が必要である。2)単純化した標準栄養バランス表の自動黒丸作成コンピューターのCD-ROMを作成する費用が必要である。3)単純化した標準栄養バランス表及び被験者の食事表及び黒丸変換表などを再編成するための消耗品が必要である。4)画面の大きさの改良、仕様の改良など専門家に業務を委託するための費用が必要である。5)web化、また、webを維持するための費用が必要である。2.【謝金】1)食事指導介入をする在宅糖尿病療養者への謝金が必要である。2)医師・看護師・訪問看護師への謝金が必要である。3)研究補助者へのデータ整理などに関する作業への謝金が必要である。 3.【通信費】1)被験者と研究者間の食事指導のための通信費が必要である。 2)医師・看護師・訪問看護師と研究者間のデータのやり取りのための交通費および通信費が必要である。4.【血液検査・受診費用】1)在宅糖尿病療養者の検査料金が必要である。医師による毎月(一人12か月)の血液検査他の料金、通院のための費用が必要である。5.【旅費】1)高齢者への生活習慣アンケート調査、3日間の食事内容記載に関する調査依頼のための旅費が必要である。2)在宅糖尿病療養者の研究協力者募集の旅費が必要である。3)学会発表(看護科学学会においての口頭発表)のための経費が必要である。4)データをまとめるための打ち合わせ費用が必要である。6.【論文】1)論文投稿(Health)、英文添削などの費用が必要である。
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