2012 Fiscal Year Research-status Report
非がん高齢者終末期ケアへの介入タイミングを支持するアセスメントツールの検討
Project/Area Number |
23593476
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
酒井 昌子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (60236982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩清水 伴美 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (60516748)
長澤 久美子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (80516740)
山村 江美子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 講師 (90340116)
鈴木 みちえ 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (50300166)
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Keywords | 在宅看護 / 訪問看護 / 高齢者終末期 / 非がん高齢者 / アセスメント / 在宅緩和ケア |
Research Abstract |
本研究の目的は、予後予測が困難な非がん高齢者の終末期について、多様な高齢者終末期を体系化し、訪問看護における終末期ケアの介入アセスメントを明らかにすることである。2年目の24年度は、政令都市315訪問看護ステーションを対象に、在宅における癌を含む慢性疾患を3群に分類し、疾患類型別に在宅療養者のターミナル期および悪化期の2時点における訪問看護師の予後予測の判断、患者、家族、医療者との情報共有を明らかにすることを目的に調査を実施しその結果を分析した。 疾患類型の3類型はA型をがん、B型を慢性心不全や呼吸不全、C型を認知症や神経難病等とした。調査指標としたPalliative Perfomance Scale(以下、PPS)スコアおよび症状は、疾患類型別に変化した。ターミナル期移行の情報提供について、A型は患者、家族に多くの情報提供がされていた。訪問看護師は対応事例の約50%は予後予測が適切と判断していた。また在宅療養支援診療所医師への調査では、予後予測指標として身体症状では全身倦怠感が重視され、生活機能では移動能力より、経口摂取の低下が鍵となっていた。予後予測と実際の転帰のずれは「ほぼ同じ」が44%であり、「訪問看護師の意見を参考にした」は59%を占め、医師への情報提供の重要性が示された。これらから、A型のがんは、B、C型の非がんに比べ、PPSは比較的高い状態で判断がしやすいことが明らかになった。B、Cの非がんは、PPSの変化は小さいが、今回本調査よりPPSの変化パターンや転帰の症状の特性との関連が明らかになったことから、これらを高齢者終末期の疾患類型別のアセスメントツールの項目として検討をする。また、5割の看護師はターミナル期の判断が適切であったことからその時点での医師への情報提供、患者、家族の看取りの意向等の確認の看護を含むツールとして検討をする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の調査結果から、指標となる症状などのアセスメント項目は示されたが、この調査においては非がん疾患数の多さに比較して、回収率が少なかったため、一般化するには限界があると判断し調査結果の矛盾点、不明点などの丁寧な分析も続けているために、アセスメントツール作成の計画がやや遅れている。 一方、臨床で活用できる高齢者終末期ケア介入の指標となるアセスメントツールとしての構成がなかなか決定しないために既存の高齢者終末期のケア基準や指標、またはクリティカルパス等の作成過程、構成を検討をしている。また、今後、訪問看護実践のデータベース化をすることが看護実践向上において期待される。実践がデータベースとして集約できるシステムによって、今回のように調査結果のエビデンスが高くない結果として試作するアセスメントツールのその後の検証に役立つと考え、現在、海外訪問事業所の地域看護過程オマハシステムのソフトを参考に看護実践のデータベース項目としての看護項目の翻訳も始めているために研究計画はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、前年度の調査結果による非がん高齢者のターミナル期移行の傾向として出現が高かった症状をもとにしたアセスメント項目と緩和ケア介入で構成するアセスメントツールを試作することである。このツールの妥当性や有用性の検証は、研究期間が短いため、訪問看護ステーションの1年間の終末期高齢者の事例の経過や看護を用いて、在宅緩和ケア専門家や熟練訪問看護師によって、そのツールの妥当性、有用性を確認し、試作に改良を重ねて成果とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度として非がん高齢者終末期ケアのアセスメントツールの作成を目的としている。そのアセスメントツール作成と検証のために、在宅緩和ケア実践のあるステーション数か所への高齢者終末期の事例の収集のための調査費用および調査協力者の謝礼費、アセスメントツール票の作成費用、成果報告などが研究費の使用計画である。
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Research Products
(3 results)