2012 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者における音や匂いを刺激とする新たな手法の回想法の効果
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23593478
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
梅本 充子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (50410692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 玲子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 講師 (40310544)
神保 太樹 昭和大学, 医学部, ポストドクター (60601317)
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Keywords | 老年看護学 / 地域在住高齢者 / 回想法 / 音 / 匂い / 介護予防 |
Research Abstract |
平成24年度では、地域在住高齢者に対して匂いや音の感覚刺激を取り入れた新しい手法の回想法を実施し、認知機能やQOLによる介護予防の有効性を検討した。 ①地域在住高齢者における匂いを使った回想法の有効性 【方法】65歳以上の地域在住高齢者10名、週1回、1時間、計8回の匂いを使ったクローズ・ド・グループ回想法を施行。プログラムは、テーマに沿った懐かしい匂いを使用した。回想法の介入2ヵ月前と介入直前、介入直後の調査を行い、認知機能調査テストSKT、MMSE、GDS15 、QOL(SF‐36V2)を使用し評価した。また生理学的機能評価はTAS9法による加速度脈波計測による自律神経系分析および身体疲労感などの評価を行った。【統計解析】SPSS ver19を使用し、反復分散分析(ANOVA)を用いた。【結果】SKTによる記憶力において、『記憶』で有意(p<.0001)な改善がみられた。TAS9法による加速度脈波測定では、PSIの有意な減少p<.05とSDNNの減少傾向p<.1が観察された。【考察】認知機能検査の結果からは、介入2ヶ月間における大幅な改善こそないものの、多少の改善が示された。生理学的指標においては加速度脈波上で自律神経系バランスの改善を原因とする身体疲労度等の指標の有意な改善が観察された。 ②地域在住高齢者における音を使った回想法の有効性 では、①と同じ方法内容について実施し、下記の効果が得られた。SKTによる記憶力(オミットの数)において、5%水準で有意差が得られ、注意力(作業にかかった秒数)においても0.1%水準で有意差が得られた。SF36では、心の健康についてのみ、5%水準で有意差が得られた。GDS15では0.1%水準で有意差が得られた。これらの刺激を併用したことは、「記憶力や注意力」「心の健康」や「うつ傾向」の改善とともに、介護予防につながったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目標は、地域在住高齢者に対して匂いや音の感覚刺激を取り入れた新しい手法の回想法を実施し、認知機能やQOLによる介護予防の有効性を検討することであった。 平成23年度では、非介入群の調査を依頼したが、地域の事情で調査できなかった。平成24年度では、予定していた地域在住高齢者に対して匂いを刺激とする回想法の実践、地域在住高齢者に対して匂いを刺激とする回想法の実践と合わせて非介入群の調査を地域の協力により実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、地域在住高齢者に対して匂いの感覚刺激や音の感覚刺激を取り入れた二つの新しい手法の回想法を実施し、認知機能やQOLによる介護予防の有効性を得ることができた。今後は、さらに発展させ、地域在住高齢者に対して匂いや音の感覚刺激を組み合わせた回想法を実施する予定である。また平成24年度で非介入群の回想法グループの調査を行うことができたため、介入群と非介入群の比較検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、音を刺激とするCDの作成を予定していたが、予定に間に合わず、自作のものを使用したため、916964円の残金が生じた。平成25年度は、地域在住高齢者に対して匂いや音の感覚刺激の両方を組み合わせて回想法を実施する。音源は、同じ条件で調査を行うため、自作のものを使用するが、匂いの材料や、交通費、研究補助のアルバイト費用、今後に向けて、イギリスでのより効果的な回想法の手法についての研修費用、学会発表、翻訳等の費用に当てる。
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Research Products
(3 results)