2012 Fiscal Year Research-status Report
精神科救急・急性期ケアと多職種アウトリーチサービスとの連携モデルの開発
Project/Area Number |
23593484
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
西池 絵衣子 天理医療大学, 医療学部, 助教 (90559527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 美智 天理医療大学, 医療学部, 助教 (20580814)
末安 民生 天理医療大学, 医療学部, 教授 (70276872)
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Keywords | アウトリーチ / 精神科救急 / 連携モデル |
Research Abstract |
今年度は地域でアウトリーチを行っている施設3か所、医療機関内にアウトリーチチームを置き支援を行っている施設2か所にインタビューを行った。医療機関の場合と同じく対象者の選定については、行政機関等も含めて協議していたが、地域ごとに支援対象者や選定の基準方法が異なっていた。また、医療機関内にチームを作っている場合は情報共有が双方向に顔のみえる関係でおこなえていたが、地域で支援を行う場合は、支援機関以外との情報共有には齟齬が見られる場合があり、タイムリーなサービスに直結していない事例が報告された。 しかしながら、各地域サービス施設の取り組みとしては、電話やメールを使用した連絡体制を整えたり、積極的に関係機関に出向くなどして支援に支障がきたさないよう配慮されていた。専任を配置することにより、地域で生活している対象者にじっくり関わりの糸口をみつけながら時間をかけて対象者とかかわりその人らしい生活の支援につながっているのではないかと考えられた。強制入院等行政介入も時に要するが、医療体制が必要な場合においてもあらかじめ支援方法を話し合い、入院に至る場合についてもチームでのフォロー体制を検討しておくことで短期間での入院で済んでいると考えられた。実際、地域で行っているアウトリーチチームの中には入院中も積極的に医療機関に出向き、医療スタッフと役割分担を行い支援の継続をしている事例もあり、退院後に向けた継続的な支援がおこなえているのではないかと考えられた。そのためには、アウトリーチに限らず、医療機関と地域サービスの相互理解があってこそ連携がとれると考えられたが、実際は医療機関との地域サービスとの垣根が支援の継続に支障をきたしていることも課題として挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は地域サービス3か所でのインタビューを予定していた。地域でアウトリーチを行っている施設が少ないが、引き続き調査協力を依頼していく。また、病院でのアウトリーチ活動についても引き続き追加調査を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
医療機関および地域サービスでのアウトリーチの取り組みから、精神障がい者が地域で生活するために多くの専門職や人的資源の投入が行われることによりその人らしい生活に近づけることがわかった。いずれにしろ、多職種が協働で話し合うための時間や場所の確保は簡単ではなく、タイムリーに行うということが必ずしもできない。そのために、専任の支援者を配置することで調整的役割を担うこと、情報ネットワークの構築等を整えることにより多くのニーズに応えらえるのではないかと考えられる。また、既存のサービスや今まで築いてきた地域でのネットワーク、地域の理解があってこそ支援サービスが行われるということ、よって地域住民への理解がえら得るよう同時に情報発信を進めていく必要があると考えられる。これらの現状を踏まえて、平成26年度は精神科救急・急性期ケアとアウトリーチ機関との連携モデルを考案する。また、連携モデルを洗練するためのインタビューを行う予定にしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビューを実施するための旅費、謝金、およびテープ起こし代金、報告書作成に使用する。新たな書籍や文献複写などにも使用する。また、アウトリーチに関する研修会を予定しておりその際にかかる諸経費ついても使用する予定である。
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