2011 Fiscal Year Research-status Report
微小体動検知システムによる脊髄損傷者の自律神経機能評価と社会生活支援に関する研究
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23593487
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Research Institution | Kobe Tokiwa University |
Principal Investigator |
鈴木 ひとみ 神戸常盤大学, 保健科学部, 講師 (60462008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90236175)
辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40311724)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脊髄損傷者 / 自律神経機能 / 社会生活支援 |
Research Abstract |
本研究では、車いすのバックレストにエアパック式圧力センサーを装着した微小体動検知システムで自律神経活動の変化をリアルタイムに捉えることにより、脊髄損傷者が疾病によって知覚困難となった排泄に関する身体感覚を、代替的に感知することが可能であるかを検証する。このシステムが実用化できれば、脊髄損傷者が正確な排尿のコントロールができ、それによって尿路感染症の発症や、それに伴う身体の苦痛および就労等の社会活動上の支障が解消されることが期待できる。平成23年度は予備実験を行い、実験中に尿意の増量と自律神経機能のデータを測定できる実験方法の調整を行った。まず実験1として、健常者に対する、排尿後2時間のVDT作業中の自律神経機能および膀胱内尿量の変化を観察する実験を4回実施した。実験では排尿し膀胱内を空にした状態から環境制御室にてVDT作業を行ってもらい、その間の心拍、自律神経活動、血圧、膀胱内尿量、主観的評価(尿意、疲労感、空腹感、眠気、仕事の集中度)を観察した。作業は30分間連続で実施し、5分程度の休息を入れるサイクルを4回繰り返した。それにより、2時間の実験時間の中で着実に膀胱に蓄尿されて尿意の自覚が高まり、それに応じて自律神経活動の変化が生じている可能性が示唆された。しかし同時にVDT作業に伴う疲労も時間経過に応じて強くなっている為、自律神経活動の変動が疲労蓄積に影響されていることも考えられた。次に、実験2として健常者に対する、排尿前後のVDT作業中の自律神経機能および膀胱内尿量の変化を観察する実験を4回実施した。ここでは実験前に排尿せずに環境制御室にてVDT作業を行ってもらい、その間の心拍、自律神経活動、血圧、膀胱内尿量、主観的評価(尿意、疲労感、空腹感、眠気、仕事の集中度)を観察した。この結果は現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画は、目的である「脊髄損傷者が疾病によって知覚困難となった排泄に関する身体感覚を、代替的に感知することが可能であるかを検証する」ことにさきがけ、微小体動検知システムの 尿意検知の可能性の検討を健常者5名に対し実施することであった。予定では5名の実験であったが、データの精度を上げるために実験計画の修正を行い、追加実験を行ったので計8名の実験を現在終えている。この結果で特徴的な自律神経機能の変化を周波数変動として捉えており、研究のアルゴリズム作成において順調に成果を上げていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の解析を詳細に行うことと同時に、本実験として脊髄損傷者10名に対し実験を開始し、健常者で確認できた自律神経機能の変化を脊髄損傷者で観察できるかを確認していく。そのために脊髄損傷者の患者会の責任者に研究に関する概要説明を行い、許可を得て会員に対する研参加のリクルートを実施する。本実験は平成24年度秋に開始し、この年度内にデータ収集を終えて結果の解析に入る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な実験機械の購入は平成23年度に終了したので、被験者に対する謝金、データ収集のために用いている微小体動検知システムの所有企業(所在地:広島)との会議のための旅費、結果をまとめ発表するための学会参加費等に計上している。
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