2013 Fiscal Year Annual Research Report
微小体動検知システムによる脊髄損傷者の自律神経機能評価と社会生活支援に関する研究
Project/Area Number |
23593487
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Research Institution | Kobe Tokiwa University |
Principal Investigator |
鈴木 ひとみ 神戸常盤大学, 保健科学部, 講師 (60462008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90236175)
辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40311724)
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Keywords | 脊髄損傷者 / 背部体表脈波 / 膀胱内尿量 / 代償尿意 / 自律神経機能 |
Research Abstract |
脊髄損傷者は中枢神経障害により尿意が欠如し排尿機序が変更されるため、その多くが清潔間欠自己導尿にて尿路管理を行っている。しかし日常生活において、適切なタイミングで導尿を行うことは難しい。そこで本研究では、脊髄損傷者の車いすバックレストにエアパック式圧力センサーを装着する背部体表脈波検知システムを用いて、脊髄損傷者の膀胱内尿量増加や尿意/代償尿意を反映した生体情報の検出を試みた。平成23年度に、予備実験として健常者8名に、2時間のVDT作業中の膀胱内尿量の変化と自律神経機能の変動を観察した。その際、実験時間中に膀胱内尿量の増加と、相応した自律神経活動の変化を感知できる可能性がみられた。 そこで平成24年度男性脊髄損傷者10名に、自己導尿後、休憩を挟んだ2時間のVDT作業を依頼し、その間のバイタルサイン、膀胱内尿量、自覚症状(尿意、疲労感、空腹感、眠気)、心拍、背部体表脈波を測定した。全被験者において時間経過により膀胱内尿量が増加、尿意/代償尿意の自覚がある者はそれが高まった。また、背部体表脈波の各ゼロクロスおよびピーク点を検出し算出した周波数の傾き時系列データから、0.0017Hz、0.0035Hz、0.0053Hzのパワースペクトルの比を解析し、ある条件を満たした時間帯と膀胱内尿量の増加あるいは尿意/代償尿意の自覚の有無を突き合わせた。ある被験者において、膀胱内尿量の増加時間帯、かつ/または、尿意/代償尿意の増大時間帯に、ゼロクロス検出法の0.0035Hzパワー比が急激に増加し、かつ、0.0017Hzおよび0.0053Hzパワー比が減少することが観察された。そこで、これらの条件を満たした時間帯を抽出する解析アルゴリズムを作成し、全被験者結果について解析したところ、10名中9名について条件に一致する現象が認められた。以上のことから、背部体表脈波のデータを利用して、脊髄損傷者の膀胱内尿量増加を反映した生体信号変化を検出できる可能性が示唆された。
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