2012 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者グループホームにおける入居者の排便状況の実態と排便ケアのあり方の検討
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23593490
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
吉原 悦子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教 (60309995)
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Keywords | 老年看護学 / 認知症ケア / 排便ケア |
Research Abstract |
初年度は、基礎的データの収集、介入施設の選定、職員への研修、対象者の選定を行い、介入を開始した。 今年度は、職員が主体となり対象者の排便状況を把握し、アセスメントを行い、ケアプランの立案、評価・修正を研究者とともにカンファレンスを通して行った。また、新たに対象を選定し、介入を開始した。ケアプランの評価・修正のカンファレンスの中で職員は、基本的なケアの重要性を再認識していたが、対象者が認知症を有することもあり、水分の補給や活動性をあげることなど基本的なケアを適切に提供することのむつかしさを感じていた。しかし、ケアの実施や詳細な観察により、対象者の排便状況がよいと精神的な安定へつながり、また、逆に精神的な安定が良い排便状況へと繋がることも自らの評価として発言していた。そこから、職員も一律的なケアを行うのではなく、いかにその人に合ったケアが提供できるか、その方法を模索するしていた。さらに、カンファレンスにおいて自らのケアを具現化することで、グループホームの小規模の特性を生かしたケアについて意識するようになったと考えられる。この介入中から、対象者のみではなく、他の入居者に対しても基本的なケアを意識するようになったとの発言も聞かれた。 さらに、基礎的データから認知症高齢者グループホームにおける排便ケアの実践状況の一部を日本老年看護学会第17回学術集会においてポスター発表を行った。認知症高齢者グループホームにおける排便ケアの実践状況を明らかにした。その結果、どのケア項目もほとんどが重要とされており、ケアの重要性は認識されていると思われた。特に水分・食事についてのケアは実践度が高く、腸蠕動を促す援助の実践度が低いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階では、3施設での介入を検討していた。しかし、認知症高齢者グループホームは小規模であることや設置母体が様々であることなどから研究介入の承諾を得られるのが非常にむつかしい状況である。そのため、現在は、2施設での介入を主流と考えており、現時点では3例目の介入中である。さらに4例目の介入を開始しようとしており、進度としては、概ね妥当と考える。 しかし、介入の期間を6ヶ月としていたが、排便状況を考慮し、介入期間を決定していく。また、他の認知症高齢者グループホームの施設に対しても、研究依頼や研修会などの打診を行い、今後のことも視野にいれ関わりを持っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、介入中の対象者へのカンファレンスを通してケア検討は引き続き行っていく。当初は、6ヶ月という介入期間であったが状況に応じて、延長することも視野に入れる。特に、認知症を有することで基本的なケアの提供自体が難しいこともあり、排便状況の改善が見られない状況も考えられる。そのため、職員のモチベーションが維持できるようにカンファレンスでも助言していく。さらに今年度は、近隣で(福岡市内)で「日本認知症ケア学会」が開催されるため、職員にも参加を促し、視野を広げる一助とする。また、他施設の研究依頼も継続して行い、今後につなげていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の研究費の端数を繰り越す予定である。 今年度は、1.介入に使用する物品、排便ケアに必要な物品、データの整理用の物品、学会発表用の物品の購入を行う。2.旅費は、勤務状況が許す限り職員の日本認知症ケア学会への同行を行う。3.データ整理のための人件費、また、謝金については計画通り使用していく。
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