2012 Fiscal Year Research-status Report
医療観察法病棟に勤務する看護者の感情体験に関する研究
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23593492
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Research Institution | The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing |
Principal Investigator |
石橋 通江 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (30369087)
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Keywords | 司法精神看護 / 医療観察法病棟 / 感情 |
Research Abstract |
本研究は、医療観察法に基づく指定入院医療機関の医療観察法病棟に勤務する看護者を対象として、対人関係障害をもつといわれる触法精神障害者への援助過程で生じる感情体験を明らかにし、看護者の感情疲労を軽減するための支援方法を構築することを目的とする。研究期間は、平成23年から25年までの3年間で、今年度はその中間期にあたる。 初年度に実施した、3施設の医療観察法病棟を研究のフィールド調査の分析した内容を研究協力者に提示するとともに、平成24年6月に開催される精神保健看護学会において、「医療観察法病棟に勤務する看護者の感情のゆらぎへの支援と題したワークショップを開催した。話題提供者として、治療困難な事例に関わったプライマリーナース、プライマリーナースを支援するアソシエートナース、病棟管理者の3名が登壇し、フロアとの意見交換を行った。その結果、MDT会議は、治療システムとして機能するだけではなく、チームの中で語り合い、治療場面を振り返る作業によって、スタッフ同士相互のスーパービジョンとしての機能を持っていること。MDT内での連携がうまくいかず、対象者の治療の進行に差が生じることによって、プライマリーナースへの心理的負担がかかることが明らかになった。司法精神看護という新しい分野に携わる看護者同士が集まり、触法精神障害者との援助関係構築の難しさや自分自身の至らなさを感じる体験を語り合う場をもつことで、看護者としてのアイデンティティを確認する機会となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度のフィールド調査が研究者の入院加療のため遅れたため、その内容を研究論文にまとめる作業が大幅に遅れた。昨年は、学会でのワークショップ開催によって研究協力者からの意見を得ることができ、支援モデル作成のためのデータ収集はできてきている。支援モデルの構築までに時間を要することから、研究の進捗状況としては、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成25年度には、12月に開催される日本看護科学学会学術集会にて、フィールド調査結果の研究発表ならびに看護者の支援方法について考えるワークショップを開催予定である。また、夏季には、アメリカの司法看護教育についての情報を得るため、UTMB (The University of Texas Medical Branch) School Of Nursing、University of Pittsburgh, School of Nursing、Duquesne University, School of Nursingを訪問し、情報収集の結果も含めて支援モデルを構築する。ならびに研究の全行程について最終報告書とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度予算として、ワークショップ実施にかかわる旅費を計上していたが、学会開催地が近郊であったため、減額となった。 25年度は、研究発表ならびにワークショップの開催、アメリカの司法看護コースの訪問などを予定しており、必要経費として計上する。また、研究推進のために必要な知識を得る目的で、文献図書費を計上する。
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Research Products
(1 results)