2013 Fiscal Year Research-status Report
要介護者を抱える家族と”終の棲家”としてのホームホスピス
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23593493
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
竹熊 千晶 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (20312168)
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Keywords | ホームホスピス / 看取り / 地域包括ケアシステム / 住まい / 民家 |
Research Abstract |
本研究は、高齢化・多様化・複雑化する日本社会において、老いや病い、障害のなかで介護が必要になった時、どこで、誰が、どのようにケアに関与することができるのか、日本社会のなかで持続可能なケア・システムを構築することが目的である。 ホームホスピスを開設し5年目を迎えた。平成25年度は、ホームホスピスのある地域住民に焦点をあてた。地域のなかにある民家を活用した”終の棲家”があることで、近隣の住民にどのような影響を与えているかをアンケート用紙を作成し、全世帯戸別面接調査を実施した。全54世帯中36世帯、47人の回答が得られた。70代が19人と最も多く、60代、80代と続く。この地域への居住年数も40年以上、70年以上が10名ずつと最も多く、80年以上この集落に居住している人も3名いた。「ずっと住み続けたい」人が多く、「長年住み続けているから」「自分の土地、家だから」という回答も多かった。近所づきあいも多岐にわたっていた。介護が必要な同居家族への世話は「トイレ」「お風呂」などの身体介護は少なく、掃除や話し相手などで、近所の人たちもほとんどが「話し相手」や「買い物」であった。この集落にあるホームホスピスも9割の人が認知していた。実際に自分が介護が必要になったときに入りたいかという問いには「わからない」が半数を占め、「(ホームホスピスに)入りたい」という人も約4割いた。「長い人生にはどうにもならないことがある」と答えた人が9割であった。これまでの入居者の変化、家族のホームホスピスへの決定要因、今回の調査内容を平成26年度(最終年度)に分析していく予定である。 また、全国ホームホスピス推進委員会の中で、ケアの内容や活動からホームホスピスの基準作りも実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はアクション・リサーチである。調査対象とするホームホスピスわれもこうが、開設5年目を迎え、2軒となったこと、3軒目も改修工事が済み、入居準備中であることが、ケアの行為として順調に進んでいる根拠である。家族の支援については、インタビューや参与観察の中から「ホームホスピス」でのケアに満足していることがうかがえる。そのことがどういうことからなのかの分析はこれからである。住民調査を行うことができ、9割の認知度があり、ここに入りたいという住民がいたことも、地域の変化としてとらえることができるのではないだろうか。住民からの講演依頼や行政、海外からの見学も多く、地域の包括的ケアシステムのモデルとしての仮説にもなり得るのではないか。今後、これまでのデータをもとに、このホームホスピスが”終の棲家”になり得るのかの検証を多角的な視点から行っていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのケア内容と入居者の変化、家族の変化、ホームホスピスへの入居動機と気持ちの変容、地域住民の変化についてのまとめを行う。その上でこのホームホスピスが高齢多死社会のなかでの”終の棲家”になり得るのか、多角的に分析を行っていく。看取りが困難であった事例もあり、そのことの要因分析も重要なデータである。 これまでの実践、調査のなかで、全国の他のホームホスピスについても、その共通内容を整理し概念定義とケア内容を精査する必要性が出てきた。そうすることによって、各地域の特徴によりその地域にあった持続可能なケア・システムとなり得るのかの評価をすることができると考えられる。 そのため、データの整理と考察とともに、本研究のまとめに必要な新たな研究課題として取り組んでいるところである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度予定していた調査のためのアルバイト謝金が調査対象者が少なかったため、予定していた人数が必要なかった。学内の共同研究者も参加したため、謝金としての支払いがなかった。県外からの共同研究者の旅費が必要としなかった。 データの分析と入力、データ整理のための謝金とする。研究成果について海外での基調講演の依頼があったため、旅費が計画より超過すると思われ、それに充当する。
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Research Products
(2 results)