2011 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー回収型リニアック放射光源用電子銃励起レーザーシステムの研究
Project/Area Number |
23600003
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中村 典雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10198228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 大 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (10392680)
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (40509783)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エネルギー回収型リニアック / 光陰極電子銃 / ファイバーレーザー / 放射光源 / 加速器 / レーザー / 電子銃 |
Research Abstract |
発振器開発では、ファイバー共振器での電気光学変調による能動的高調波モード同期を試みてきたが、1.3GHzの安定な発振を得ることはできなかった。そこで、代わりにNd:YVO4を用いた1064nmのレーザー発振器を製作した。波長808 nmのファイバー結合レーザダイオードからの光をNd:YVO4結晶(結晶長8 mm)に入射し、そこからの放出光を二色性ミラーと半導体過飽和吸収鏡による共振器で増幅させた。増幅器開発では、長さ1.2mでコア径40ミクロンの大口径Yb添加フォトニック結晶ファイバー(PCF)と最大出力80Wのファイバーカップル型半導体レーザー(LD)を使用したファイバーレーザー増幅器を構築した。波長1030nm、出力約10mWの85 MHzシード光に対して10Wまで増幅できたが、目標である30Wまでの増幅は得られなかった。そこで、長さ5m、コア径5ミクロンのYbファイバーを用いた前置増幅器(出力約60mW)を導入するとともにLDとPCFの温度制御を改善して、平均出力パワーで目標値を越える31 Wの増幅光を得ることができた。その後、Nd:YVO4結晶を用いた1.3GHzの発振器と長さ1.5mのファイバーレーザー増幅器を新たに構築して、繰り返し1.3GHzで出力パワー37.9Wの増幅光(波長1064nm)を得ることに成功した。波長変換の開発では、ファイバーレーザー増幅器の出力光の一部を0.85 mの高非線形フォトニック結晶ファイバーに入射することでスーパーコンティニウム(SC:Super continuum)光を発生させて、バンド幅85 nmで波長800 nmの光(平均出力パワー0.19 W)を得た。この光の波長は、光陰極のエネルギーギャップに近い。この光を信号光に、増幅光の2倍高調波を励起光に用いるパラメトリック増幅によってさらに大きな出力が得られるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共振器については当初予定していた方法で1.3GHzが達成できなかったが、別の方法で代用できた。増幅器については85MHzの繰り返しの後に1.3GHzの繰り返しでも目標とする出力パワーを達成することができた。波長変換ではファイバー増幅器の出力の一部を用いてスーパーコンティニウム光を生成して波長800nmの光を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.3GHz繰り返しで増幅器の目標出力を達成することができたので、今後は2倍高調波発生が1つの課題となる。変換効率の高い2倍高調波発生システムの開発を進める。また、Nd:YVO4結晶による発振器からの光は波長1064nmであるが、増幅器の増幅率や2倍高調波の変換効率を高めるために波長1030nmのシード光を安定に生成するYb結晶による発振器の開発にも取り組んでいく。2倍高調波発生の変換効率が十分でない場合は、増幅器を多段にして増幅器出力を上げて変換効率及び2倍高調波出力を高めることも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度内に納品予定であった発振器用のYb結晶の1つを製作業者が納品前に破損させたことと、製作業者の工場の改造のために再製作が年度内に間に合わなかったことのために、研究費の一部が次年度に繰り越しになった。次年度はこのYb結晶の購入の他、発振器開発のための光学部品と2倍高調波発生の非線形結晶と関連する光学部品などを購入する予定である。
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