2012 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー回収型リニアック放射光源用電子銃励起レーザーシステムの研究
Project/Area Number |
23600003
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中村 典雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10198228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 大 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (10392680)
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (40509783)
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Keywords | エネルギー回収型リニアック / 光陰極電子銃 / ファイバーレーザー / 加速器 / レーザー / 放射光源 / 電子銃 / 電子銃励起用レーザー |
Research Abstract |
これまでの増幅器は、Nd:YVO4結晶を用いた1064nmレーザー発振器と既製のファイバー増幅器のプリアンプからの出力を入力光とし、最大出力80Wのファイバーカップル型半導体レーザーと大口径Yb添加フォトニック結晶ファイバーで構成されたファイバーレーザー増幅器を用いて出力の増幅を行ってきた。今回、Nd:YVO4発振器からの出力を直接の入力光として、最大出力25Wと100Wのファイバーカップル型半導体レーザーを使用した2組のファイバーレーザー増幅器をつないだ2段増幅器によって出力のさらなる増強を図った。その結果、波長1064nm、繰り返し1.3GHzで出力パワー70Wを得ることに成功した。 電子銃カソードへの照射光の波長については当初電子銃のGaAsカソードのエネルギーバンドギャップに近い800nmとしていたが、電子ビームのエミッタンスが1064nmの第2高調波である532nmの光と比べて大きな差が見られないことや800nmでは電子バンチにハローの原因となるテールができやすいことなどの理由から、本研究計画ではカソードに照射するレーザー光の波長を532nmとすることにした。第2高調波発生ではLBO結晶を用いて変換効率の試験を行い、繰り返し178.5MHzで3Wの基本波に対して、0.5Wの2次高調波を得た。この結果から、繰り返し1.3GHzでは23Wの基本波(1064nm)に対して、3.6Wの2次高調波(532nm)を得られるものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
増幅器については2段にすることで1.3GHzの繰り返しで70Wの出力パワーを得ることができた。これは当初目標の2倍以上の出力である。また、第2高調波発生試験の結果から期待される532nm光の出力は、目標である10mAの電子ビーム電流を発生できる2倍高調波出力1.5W(カソードの量子効率1%を仮定)を大きく越えることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
変換効率の高い2倍高調波発生システムの開発を進めていくとともに、1.3GHzの繰り返しで実際に2倍高調波発生を行って532nmでの目標出力の達成を目指す。また、開発したレーザーシステムを平成25年度に運転を開始するコンパクトERLの光陰極電子銃に組み込んでシステムの評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、半導体レーザー等が予定した額よりも安く購入できたために未使用額が発生した。これと次年度の研究費とを合わせて、2倍高調波発生の目標出力の実現及びレーザーシステムのコンパクトERLの光陰極電子銃への組み込みとその維持・改良に必要な光学部品等を購入する。必要に応じて、研究成果の発表を国内外の学会にて行うための旅費として使用する予定である。
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