2013 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー回収型リニアック放射光源用電子銃励起レーザーシステムの研究
Project/Area Number |
23600003
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中村 典雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10198228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 大 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (10392680)
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (40509783)
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Keywords | 電子銃励起レーザー / ファイバーレーザー / 光陰極電子銃 / エネルギー回収型リニアック / 放射光源 / 加速器 / 高繰り返しレーザー / 高出力高安定レーザー |
Research Abstract |
平成23~24年度は、Nd:YVO4を用いた1.3GHz、1064nmのレーザー発振器を開発した。また、Ybファイバー増幅器での増幅率向上を考えて、Yb結晶による発振器の検討も行った。増幅器では、利得媒質として大口径Yb添加フォトニック結晶ファイバーを、励起光として最大出力80Wのファイバーカップル型半導体レーザーを使用し、1.3GHz繰り返しで目標である30Wを越える増幅光(最大37.9W)を得た。さらに、最大出力25Wと100Wの半導体レーザーを使用した2組のファイバー増幅器をつないだ2段増幅器によって、出力パワー70Wを得ることにも成功した。波長変換の試験では、LBO結晶を用いて繰り返し178.5MHzで3Wの基本波(1064nm)に対して、0.5Wの2次高調波(532nm)を得た。これは、繰り返し1.3GHzでは、23Wの基本波で3.6Wの2次高調波を得ることに相当する。一方で、ファイバー増幅器の出力の一部を高非線形フォトニック結晶ファイバーに入射して、光陰極GaAsのエネルギーギャップに近い中心波長800 nmのスーパーコンティニウム光を得ることにも成功した。 平成25年度には、開発したレーザーシステムで光陰極電子銃を励起してコンパクトERLの運転を開始した。このレーザーシステムでは、1.3GHzのCW運転並びにCWレーザーを種々なゲートを使ってパルスとして切り出すパルス運転が可能である。CW運転では既に6.5μAまでの電子ビーム生成を実現し、最終的には10mAまで上げる予定である。パルス運転では7.7pC/bunchでの電子ビーム発生が安定に実現できた。これは、CW運転に換算すると10mAの平均電流に相当するものである。電子ビームエミッタンスも小電流で陰極の熱エミッタンスとほぼ同じ値を達成しており、開発したレーザーシステムが順調に稼働していることを確認できた。
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