2012 Fiscal Year Research-status Report
自由電子レーザー利用実験に向けた金属・半導体クラスター源の開発
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23600006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永谷 清信 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30273436)
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Keywords | 自由電子レーザー / クラスター |
Research Abstract |
高融点試料を利用するFEL実験に向けて、技術開発を進めた。XFELでの高融点試料実験の試験として、電磁パルスバルブを利用した高温試料源を利用して実験を行った。摂氏100度C程度で高い蒸気圧を有するヨウ化ウラシル分子を用いて、日本のXFEL施設SACLAでの実験を行った。イオンの価数分布や運動エネルギー計測による結果から、ヨウ化ウラシルのヨウ素原子上で生成した多数の電荷が分子内に分配され、激しいクーロン爆発が起こっている事が確認された。実験で得られた運動エネルギー分布とクーロン爆発モデルとの比較により、分子内での電荷分配の様子など、XFELによる試料損傷に関する情報が得られた。実験室では、パルスレーザーによるレーザー蒸発装置の設計・製作と動作試験を進めた。 上記の試料源開発と並行して、FEL利用によるポンプ-プローブ実験技術の開発を進めた。SCSS試験加速器の極紫外FELパルスと赤外レーザーを用いて希ガスクラスターを試料とした実験により、FEL照射によって生成していると推測される、弱く縮退したプラズマ状態の生成から解離にいたるダイナミクスについて検討を進めた。特に、ネオンクラスターを試料とした実験で、極紫外FELによりネオンクラスターに多数の励起子を生成することで、ナノメートルサイズのプラズマが生成するが、この生成機構にFEL強度依存性があることを示唆する結果を得た。具体的には、高FEL強度では、クラスター中に生成された多数の励起子が非局在化する励起子モット転移が起きていることが示唆される一方で、比較的弱いFEL強度では、励起原子間での原子間クーロン崩壊(Inter atomic Coulombic Decay)と呼ばれる緩和機構によるプラズマ形成が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自由電子レーザー利用実験を実施することで、実験に必要な試料密度などの見積もりを行い、試料源の設計・製作を進める段階に進むことが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
自由電子レーザー利用実験に向けた金属試料導入装置として、レーザー蒸発源の開発を進める一方で、既存の希ガスクラスター源を用いた自由電子レーザーを用いた試験実験を進める。日本のXFEL施設であるSACLA利用実験を中心とするが、海外のFEL施設、特に次世代の自由電子レーザー技術であるシード型FEL光源であるイタリア国のFERMI実験施設の利用を含めて、利用技術開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験室でのクラスター源開発を進める。このために各種の金属加工品をや真空槽、光学部品を購入して、装置の試験を進める。 これと並行して、FEL利用実験をSACLAとFERMIを用いて進めるために、実験装置の搬送や、実験にかかわる旅費を計上する。
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Research Products
(6 results)