2013 Fiscal Year Research-status Report
電子蓄積リングからのコヒーレントテラヘルツ光発生の研究
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23600008
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
庄司 善彦 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (90196585)
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Keywords | シンクロトロン放射 / コヒーレント放射 / テラヘルツ放射 |
Research Abstract |
平成25年度は蓄積リングの調整に予定を超える時間を使う結果となった。本研究テーマでは、従来技術を遥かに越える高いコヒーレンスが求められたからである。以下は全てコヒーレンス維持のための技術である。 ハードウェアでは以下の4点を導入した。(1) 垂直キッカー電源を短パルス化し、より測定データがより明確に得られるようにした。(2) 8極電磁石(平成24年度製作)の導入により、ベータトロン振幅依存チューンシフトの補正を可能とした。(3)捩れ4極電磁石の増設により、より高精度の水平と垂直振動のカップリング補正を可能にした。(4) シンクロトロン振動抑制フィードバックの導入。 運転技術上は、14回に及ぶマシンスタディーにより、以下を実施した。(1) 上述ハードウェア稼働状況をビームで確認。(2) 新規導入機器のパラメーター調整。(3) 本研究に特化した加速器パラメーターの最適化。(4) ストリークカメラを用いたビームの空間構造観測。(5) 時間軸非線形効果の調整。(6) 交流6極電磁石のパルス運転化による発熱対策。 本研究の意義として、コヒーレント放射利用の他に、加速器技術としての新規性を挙げていた。平成25年度の研究は加速器技術に集中したが、その派生効果として加速器技術に貢献している。コヒーレンスの維持はビーム加工を伴う放射光発生にとって鍵となる技術である。現時点ではLandau dampingに関する研究発表が、Nuclear Instruments & Methodsのmost downloaded article のランキングリスト入りするなどの成果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究テーマでは、従来技術を遥かに越える高いコヒーレンスが求められたため、蓄積リングの調整に予定を超える時間を使う結果となった。非線形性などは予想された課題であったが、その困難さは予想を超えていた。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) コヒーレンスの問題は解決したと考えている。今後はコヒーレント放射観測を含め、研究成果を纏めて順次成果発表を行う。 (次年度の研究費の使用計画) 未使用金はInternational Particle Accelerator Conference 等における発表費用に充てる。論文出版費用などの不足分には講座研究費を充て、研究を完遂する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画していた機器の整備(電磁石やタイミングシステム、計測システム等)は完了しているが、これらを用いた実験において、予期しなかった電子ビームコヒーレンスの劣化が生じた。この問題が完全に未知の非線形プロセスを含んでいたために、その解決に長時間を要し、計画に大幅な遅れが生じた。問題は解決したが、2013年度に予定していた研究発表費用が未使用金となった。 問題は解決したので、研究成果を纏めて順次成果発表を行う。未使用金はInternational Particle Accelerator Conference 等における発表費用に充てる。論文出版費用などの不足分には講座研究費を充て、研究を遂行する。
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Research Products
(3 results)