2012 Fiscal Year Research-status Report
デバイス界面原子配列の可視化のためのX線定在波法の開発
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23600018
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
坂田 修身 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (40215629)
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Keywords | 硬X線定在波 / 界面原子配列構造 / シンクロトロンX線回折 / 動力学的X線回折 / 高平行X線 / マイクロメータX線ビーム / 非破壊構アトミックスケール造解析 |
Research Abstract |
鉛直方向では高い平行性をもち、水平方向では屈折レンズにより集光するX線光学系システムを作製し、そのX線ビームの評価結果を昨年度の報告書に記載した。この光学系を硫酸溶液中の金単結晶表面試料の構造解析に適用した結果を報告する。まず、入射X線12.4keVを用い、1 1 1、0 2 2ブラッグ角近傍で、その試料をロッキングさせて、Au L蛍光強度、回折強度のプロファイルを同時に記録した(定在波測定)。次の結果が得られた。 1) 回折強度曲線は非対称な形状を示し、その反射率は1 1 1, 0 2 2回折に対して80%以上と高く、また角度幅は40, 25 arc secであった。 2) Au L エミッションの形状は、ブラッグ角付近で約40%の強度変調を示した。1 1 1回折では、低角で谷、高角で山の形状、0 2 2回折ではくぼみ形状であった。 これらの特徴はX線動力学的曲線に典型的なものである。本研究の意図のひとつは、金属結晶基板が見かけ上Siなどの半導体結晶と同様な高い完全性があるように回折実験で扱うことであったが、作製した光学系を用いることによりそれを示すことに成功した。 また、硫酸溶液中のCo ポルフィリンの原子1層を金単結晶表面に作製し、入射X線11keVを用い、サイクリックボルタンメトリー測定をしながら異なる電極電位におけるin-situ定在波測定をした。Co K エミッションプロファイルを記録できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化物基板上に育成した試料システムに作製した光学系を適用することを昨年の報告書では計画として記載したが、より困難な金属基板結晶上の試料システムに適用することを試み、成功した。これは当初計画の3年目のものを前倒ししたことに相当する。つまり、ふつうに入手できる金属結晶基板から、ほぼ完全結晶からしか観測できないと思われている動力学的回折X線現象を容易に観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書の研究実績で記載したAu定在波曲線データを解析する。 そのため、解析プログラムを作成する。 まず、基板結晶の動力学的回折効果と光学系の角度発散を考慮して、回折曲線と蛍光曲線とを計算するプログラムを作成する。ここでのポイントは実空間の原点を明確に定義し、ブラッグ回折ごとに原点と対応した電気感受率を計算することである。次に、 実験回折曲線と計算回折曲線を比べて、光学系の角度発散と角度の原点を決定する。この作業の妥当性を確かめるため、金基板からの蛍光X線のプロファイルを説明した上で原子1層のCoの位置を決定する。 さらに、ふつうに基板として用いられる単結晶としてサファイア単結晶基板上に育成された酸化ニッケルの超薄膜を試料とし、確立したシンクロトロン硬X線定在波法を適用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況: 科学研究費の研究と共有できる物品は機構などからの他の予算でまかなったため、次年度使用額が生じました。また、データ解析を先送りしたため、それにかかわる物品費を使用しなかった。本年度は、物品費50万円、旅費80万円、その他30万円を計画している。とくに、研究成果をまとめるために予算を有効に利用する計画である。
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Research Products
(6 results)