2011 Fiscal Year Research-status Report
青少年のネットワーク環境における社会的なつながりの認識に関する基礎的研究
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23601004
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
石川 真 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (60318813)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | つながり / 親密度 / メール / 振る舞い / ネットワーク |
Research Abstract |
現代の青少年(子ども)は,リアルな社会とネットワーク上の社会という二つの並行した社会の中で成長・発達している。このような現状を踏まえ,本研究はネットワーク上におけるリアルな社会において,電子メール,チャット,電子掲示板などのテキスト(文字)による他者との相互作用過程を通して,青少年がどのようにつながり,関わっていくか,その特徴を探ることを目的としている。 本年度は,個人間(一対一)のつながりの傾向について,とりわけ,親密度の違いに着目して質問紙調査により探った。その結果,振る舞い方の違いが親密度の程度によって異なることが示された。親密度の程度を高い群と低い群の2群に分けて分析したところ,直接会って話すことに対しては顕著な違いが見られなかったものの,メールや電話で話すことに対しては,親密度の低い者の方が高い者よりも多い傾向が示された。メールに限定したやり取りや振る舞い方においても,同様の傾向が確認でき,親密度の低い群の者の方が高い群の者よりも,メールでの積極的な関わり方をしていることが明らかとなった。一方,相手との関わりの中で,直接会うことが最も重視する振る舞いであるのに対し,メールでのやり取りは,電話で話すことよりも低い傾向が見られた。この特徴については,親密度の違いによる傾向の差は示されなかった。 今回得られた知見は,ネットワーク上での他者との関わりの中で,親密度が高くなる関係性の特徴を探る上で有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,インタビュー調査により,社会的なつながりの傾向を探ることを予定していたものの,量的データによる調査(質問紙による調査)を通して,一対一での他者との関わり方,つながりについて,明らかとすることができた。これらの結果については,各種学会で発表する予定である。 また,これらの成果を踏まえ,次年度以降の研究においても当初の計画通り進展することができる。とりわけ,実験をデザインする上で,今回の質問紙調査による結果より,重要な知見が得られており,達成度においては,特段問題ないと考えられる。 次年度に向けて,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS:Social Networking Service)の実験環境の構築の検討においては,さまざまな情報収集を行っている。当初の計画通り,着実に次年度に実施できる状況にある。 以上の点を踏まえ,現在までの達成度は,おおむね順調に進展している状況にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査ではなく,質問紙による調査を主として進めた経緯により,当該研究費の差が生じた。ただし,質問紙調査で得られた結果を踏まえ,質的な調査を行うことは重要であると考えている。現段階では,インタビュー調査ではなく,自由記述式のアンケート調査による収集を採用していくことを検討している。インタビュー調査は,これらの調査を実施していく過程の中で,導入を検討していく。 研究関連の情報収集が必ずしも十分ではないことは,改善すべき点といえる。国内の諸学会への参加により,関連する研究成果などの情報収集,研究者との交流を含め,より多くの有用な情報収集に取り組んでいく。 実験の方策においては,現時点までに検討した内容を踏まえつつ,SNS環境の構築,データの収集方法,対象者(被験者)の選定を行っていく。オープンソースソフトウェアを活用し,実験環境の構築よりも,実験期間に十分な時間を充てる手続きで臨んでいく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費・謝金についての使用計画:繰り越しにより,当初よりも研究費に余裕があるため,実験では当初よりも被験者を増やすことが可能となり,研究計画をスムーズに進展させていく。また,本務校に在籍している情報教育を専門とする大学院生などの協力を得ながら,実験環境構築を進めていく。 旅費についての使用計画:研究成果を学会の年次大会で発表する。また,学会の年次大会,研究会,シンポジウム等に参加し,研究関連の情報収集する。また,連携研究者と定期的に情報交換を行う。 物品費についての使用計画:当初の研究計画では予定していなかった,紙媒体からWeb上での回答方式による質問紙調査の採用を検討している。そのために必要な物品購入に充てる。また,被験者に貸し出す機器などの準備等にも充てる。 年度計画の研究をスムーズに推進していくために,適宜検討しながら,計画的に研究費の執行を進めていく。
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