2011 Fiscal Year Research-status Report
「持続可能な消費に関する教育」の体系化及び教員養成・教員研修プログラムの開発
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23601005
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大原 明美 信州大学, 教育学部, 講師 (30548227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 雅子 信州大学, 教育学部, 教授 (10185457)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 家庭科教育 / 消費者教育 / 環境 / 教科書分析 / 家庭科教員 |
Research Abstract |
交付申請書の平成23年度研究実施計画に基づき、(1)わが国の家庭科教育における消費者教育(環境教育・シティズンシップ教育的内容を含む)の現状分析、(2)わが国の消費者教育における先行研究の概観についての整理、を行った。(1)では、(1)新学習指導要領に基づいて改訂された小学校及び中学校の新しい家庭科教科書において、消費者教育に関する記述をピックアップし、内閣府「消費者教育の総合的推進に関する報告書」による「消費者教育の体系シート」と照合することにより、体系シートの領域別目標が各教科書にどのように反映されているかを分析した。さらに、(2)地元小・中学校の家庭科教員(及び家庭科担当教員)を対象として消費者教育に関する質問紙調査を実施し、新学習指導要領において小・中学校共通の学習枠組みとして設けられた「D.身近な消費生活と環境」について、移行段階を迎えた現時点における実情(取組の現状、D領域に対する指導者の捉え方、今後重点を置きたい内容など)を把握するとともに、今後の課題について考察を行った。2つの調査からは、(1)消費者教育は、生活環境適応能力、生活環境醸成能力の双方を育成する教育として認識されながらも、依然適応能力の育成に支点が置かれており、持続可能な社会の構築に向けて地球市民を育成することが重要な課題となっている現状からみると、環境醸成能力の育成に課題があること。(2)「D領域は重要であり、今後重点を置きたい」との回答が多いにもかかわらず、大学で本領域について十分に学んだとする教員はごく僅かであり、教員養成とともに教員研修の機会の充実も急務であること。が示唆された。(1)と(2)の結果を併せて「家庭科教育における消費者教育の現状と課題 ―『学習指導要領』改訂を踏まえて―」としてまとめ、信州大学教育学部研究論集第5号に投稿し、学術論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究計画に記載した平成23年度の課題2つはともに年度内に終了し、前述の「研究実績の概要」に記したように、その成果を論文としてまとめ、信州大学教育学部研究論集第5号を通してその成果の公表を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、交付申請書研究計画(2)北欧諸国の学校における消費者教育の新・旧アクション・プログラムを比較し、その違いを明らかにするとともに、継続点、変更点それぞれの意義について考察することを軸としながら、1.研究代表者がこれまで行ってきた北欧諸国の学校における消費者教育に関する研究から日本の学校における消費者教育の体系化に示唆されること。2.日本消費者教育学会における消費者教育の体系化に関する研究の流れ及び、消費者行政における消費者教育の体系化をめぐる動向について概観すること。を含めて、学校における「持続可能な消費」のための教育として体系化を図る上で必要な視点について考察を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。設備備品等の整備については平成23年度に概ね充足したため、平成24年度には専門に関する研究誌(バックナンバー)の入手、専門書、事典類などの整備に心がけ、また、国内での聞き取り調査などのための旅費・宿泊費、専門知識の提供にかかる費用等に重点を置いて使用する予定である。
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