2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもにとっての新しい親密圏に関する研究――学童保育調査を通して――
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23601008
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大谷 直史 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (50346334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 隆一 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (10437519)
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Keywords | 親密圏 / 学童保育 |
Research Abstract |
1.学童保育の質に関する調査(事例研究):大阪市・堺市・京都市・大山崎町・鳥取市の学童保育及び、児童福祉・教育関連施設の視察を行い、参与観察を行った。「ただいま」と帰ってくる瞬間から帰宅まで、児童がどのような行動をとっているのか、とりわけ指導員との関連性に着目して観察を行った。また研究の進んでいる保育分野からも示唆を得るため、文献の収集、研究会への参加を行った。 2.全国指導員調査:2013年2~3月に、全国の学童保育2000か所(8000名)に対して質問紙調査を行った。結果は学童保育学会及び学童保育学会誌に掲載するとともに、報告書を作成し、調査対象機関に配布予定である。質問紙では施設・指導員の概要のほか、学校とも家庭とも異なる学童保育の固有性を明らかにするために、学童が児童にとっていかなる意味をもった空間として体験されているのかを明らかにするよう設定された。なお利用者調査は本年度は実施しなかった。なお、昨年度行われた予備調査(鳥取・大阪)データを用いて、第3回学童保育学会にて発表を行った(「親密圏としての学童保育の可能性(1)」)。その際、指導員と子どもとの間の呼称が、学童保育の性格を分類する手掛かりになることが明らかにされ、全国調査でもさらに詳しく検討されている。 3.自治体間格差の規定要因分析:既存データをもとに自治体間格差の規定要因を明らかにしようとしたが、現在のところ明確な関連性のある要因は析出されていない。関係者への聞き取りにおいても、地域固有の要因が大きいとの回答が多く、今後新たな変数を投入して検討を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国調査の実施時期は年度末になったものの、視察及び調査はほぼ計画通り実施されている。学童保育の親密圏としての性格を明らかにするための要素も、呼称をはじめてとして複数の見通しをつけることができている。自治体間格差だけが見通しを持てないでおり、この点は地域の政治的要因を含めて再検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.学童保育の質に関する調査(事例研究):典型的な学童保育、とりわけ共同保育型の施設を対象に、継続的な参与観察を行う。 2.全国指導員調査:調査結果の分析を進め、第4回日本学童保育学会での発表、学童保育学会誌への投稿、報告書の作成と配布を行い、実践者・研究者との対話を進める。 3.自治体間格差の規定要因分析:新たな変数を模索し、格差の規定要因を明らかにする。 以上につき、学童保育実践家(指導員等)を含めた研究会を開催し、研究成果を公表するとともに、新たな課題を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)