2013 Fiscal Year Annual Research Report
視聴覚環境と脳の相互作用:正常発達と自閉症スペクトラム
Project/Area Number |
23601010
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 貴男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70404069)
|
Keywords | 自閉症スペクトラム / 視聴覚環境 / 光トポグラフィー / 音声・言語認知 |
Research Abstract |
社会生活を営む上では、音声や言語の認知が欠かせない。成人では音声認知は右側頭葉、言語認知は左側頭葉で主に行われることが分かっている。コミュニケーション能力の形成に重要な時期と考えられる就学前児童(3-6歳)期における音声・言語の認知機構の発達過程を明らかにするために、本研究では母親の声、知らない女性の声、環境音を聴いている際の脳活動を光トポグラフィーを用いて検討した。定型発達就学前児童20名を3-4.5歳群10名と4.5-6歳群10名の2群に分けて検討した。その結果、3-4.5歳群では、両側の側頭葉(特に右側頭葉)で、母親の声に対する反応が環境音に比べ大きかった。さらに左側頭葉では、母親の声に対する反応が知らない女性の声に比べて大きかった。これらの反応は4.5-6歳群に比べて強かった。以上の結果から、就学前児童では成人と同様の音声・言語認知機構がすでに存在することが分かった。さらに就学前児童(特に3-4.5歳)では音声・言語認知機構の成熟に母親の声が重要であること、これらの機構の成熟に伴い4.5-6歳児では母親の声の役割が減少することが分かった。 現在、論文作成中であるが、自閉症児では、これらの定型発達児童でみられる母親の声に対する側頭葉の反応性が乏しいことが分かった。 従って、本研究の結果は、自閉症の社会コミュニケーション障害には知覚レベルの異常が根底にあるという仮説に矛盾しない結果であった。
|
Research Products
(6 results)