2012 Fiscal Year Research-status Report
NICU高照度環境が及ぼす早産児の睡眠・覚醒リズム形成と心身発達の前方視的研究
Project/Area Number |
23601012
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新小田 春美 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70187558)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 美子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70437789)
清原 千香子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00169963)
加来 恒壽 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60185717)
松本 一弥 広島文教女子大学, 人間科学部, 教授 (80086602)
浅見 惠梨子 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (80369751)
古賀 靖子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60225399)
木下 義晶 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80345529)
|
Keywords | NICU / 昼夜高照度 / 心身発達 / 睡眠・覚醒リズム / ディベロップメンタル・ケア / 早期産児 / 生体リズム |
Research Abstract |
目的:NICU/GCUでの、昼夜高照度・騒音等の治療環境にさらされた早期産児のディベロップメンタルケアが検討されてきたが、我が国ではその環境基準はまだ不明確である。生体リズムを規定する治療環境による影響と睡眠の質及び睡眠・覚醒リズム形成過程の特徴を分析し、早期産児への高照度及び騒音の侵襲と、発達促進にむけた良質な睡眠リズム形成過程の特徴を明かにする。 方法:アクチ加速度計(児の足首に装着)より、活動量・バイタル所見による生体リズムの観測を昼夜で比較し、同時測定した光・音測定より治療環境の経時的変化を観測した。Sadehの判定式を用いて、静睡眠・動睡眠・覚醒の3段階で睡眠深度を判定した。また早期産と正期産の成熟度による差を二元配置分散分析、睡眠の質はクロス集計した。一部の症例には、騒音は分析記録装置を接続して周波数特性を分析した。 結果:1.平均在胎週数33+5で、男児/女児(31名/17名)・NICU/GCU収容児(29名/15名)であった。2.活動量は、昼帯:57.8±2.4,夜帯:48.7±21.3で、昼帯の方が若干高く、活動量の経時的な推移は3時間の睡眠リズムに対応していた。3.睡眠深度は、昼帯:覚醒26.7%,深睡眠22%,浅睡眠51.3%,夜帯:覚醒21.1%,深睡24%,浅睡眠54.8%で大差は認めなかった。4.治療環境は、照度lux(昼帯234.01±58.013,夜帯106.52±15.761)・音db(昼帯60.947±1.7833,夜帯57.249±1.7953)であった。5.騒音レベルの出現頻度を昼夜に別けて分析したが、昼間と夜間で大差は認めなかった。80%の時間帯はアメリカ小児科学会(AAP)の推奨値45dB程度であり、多くの時間帯では良好な環境が保たれていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体計画は以下のスケジュールのSate2段階まで進行し、達成度50%である。当初携帯脳波にて、早期産児の睡眠判定をActigraphと同時併用する予定であったが、睡眠脳波の測定感度など測定機器の限界という不側の事態により携帯脳波測定を断念した。 Stage1:昼夜におけるNICUおよび病室の養育環境(照度、雑音)の変化の観測 Stage2:通常のNICU環境下で早産児と、母児同室下での正期産児の睡眠特性の観測を実施。入院時、生後3-4か月時点の観測を行い、サーカデイアンリズム形成時期の評価 Stage3:照度調整による睡眠の質評価(介入実験:光条件を変えてみる) 現在は、Stage2の途中経過の段階である。症例は在胎週齢33-36週齢児時に測定を行い、数はほぼ確保できたが、追跡調査が今後の課題である。さらに、Satge3の子宮内模擬環境における介入研究は平成25年度の取り組みとなる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Stage2で測定した対象児の、退院後の状態のフォローアップとして、生後3か月後の睡眠・覚醒リズムの観測。家庭内の養育環境としての光・音計測を実施。さらに早期産児と正期産児のサーカデイアンリズム形成時期の評価を比較 Stage3:照度調整による睡眠の質評価( 介入実験:光条件を変えてみる) 子宮内模擬環境における介入研究を、平成25年6月~10月まで実施。 高照度の光影響が早期産児の睡眠リズムと関係するか否か、メラトニンの1日の変動について、プレテストを行ったが、基準値以下の値であり判定不能であったため、再度在胎週齢や生下時体重なども考慮した研究計画の再考が必要である。研究計画では対象5例、コントロール5例で、メラトニンを照度調整(2週間)の前後で1日4回の2クール測定。騒音や光測定、活動量の3日間継続測定で実施する。照度による影響が、睡眠の質および活動量や睡眠・覚醒リズムの変化に反映するのか否かの検討をはかる。最終年で、情緒行動評価をスクリーニングシートと睡眠調査にて考察する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度からの繰越分も含めて、 研究費として、 研究分担金 15万、研究補助員の雇用(データ入力、解析サポート) 47万、被験者謝金(家庭におけるActigraph測定,交通費) 6万、 介入群及び非介入群のメラトニン測定 各6人:768,000円(8,000円×1人8回×12人)、データ作成依頼 8万(4万円×2回) 、論文校閲、10万 学会参加費 5万、アクチウォッチ修理 114,500円、消耗物品費 5万
|
Research Products
(7 results)