2011 Fiscal Year Research-status Report
子どもの遊びと自然体験を促す環境デザイン及び学習プログラムの開発に関する実践研究
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23601013
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 啓太郎 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10315161)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 都市生態学 / 生物多様性 / 子どもの参画 / 環境学習 / 環境デザイン / 環境学習プログラム / 子どもの遊び / 住民参加 |
Research Abstract |
身近に残された緑地や河川といった自然空間やオープン・スペースを、生物多様性を保全しながら、子ども の「遊び」と「環境学習」を目的として再生・創造していくことは、現代の都市において重要な課題である。 また、子どもにとって「遊び」は、自然のしくみを知り、生活の知恵を身につけるための重要な体験であるが、特に日本の都市部では、かつて誰もが体験できた遊びや体験型の環境学習を実践していくことは難しいのが現状である。本研究では、実際の計画・設計プロセスと日欧の比較研究を通して、身近なオープン・ スペースを、「地域の自然環境の修復・再生」、「環境学習」、「住民参加」、「子どもの遊び」の場として活用できるような新しい環境デザインの手法と環境学習のプログラムを開発することを目的として研究を進めている。本年度は、北九州市の夜宮公園めぐり坂池のリニューアル設計に伴うワークショップ、遠賀川河口堰魚道および周辺環境の設計を行った。平成24年5月に、遠賀川のプロジェクトは、魚道が開通し周辺の人々や小学生への利用が開始される。同時にヨーロッパの環境教育事例については、ドイツ・ダルムシュタットの研究協力者、都市建築研究所(IWU)のPeter Wernerと現地調査を行った。また、ドイツ・ベルリンのSudegelende公園の設計者(Dr. Andreas Langer)とミーティングを行い、都市における生物多様性、環境教育の重要性について共同研究を進めていくこととなった。また、ポルトガルのアソーレス大学(Dr. Rosalina Gabriel)において、環境づくりと子どもの参画、また、生物多様性の保全について調査・ミーティングを行い、生物多様性保全と環境教育について重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象地である都市公園および河川の環境設計、大学内の自然再生設計について順調に設計・施工が進み、次年度には、活用の環境学習ワークショップを行うことができるようになる。このような公共空間のデザイン・活用 に関しては、地方自治体の技術者の協力が不可欠であるが、計画・設計活用にあたっては、国土交通省、北九州市の公園関連部署の協力を得ることができている。特に、国土交通省とは、「環境デザイン研究会」を発足させ、緊密な連携をとるに至っている。また、今年度の欧州における調査では、環境特性に応じた設計(河川・都市公園)と学習プログラムについて、重要な知見を得ることができた。このため、達成度は良好で、3年間の研究計画において順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行ってきた身近な環境の設計と環境再生を通じて、今後のワークショップのために必要な環境の追加設計(樹木や在来種草本)を行う。また、都市緑地の分布、地形、植生等、都市の生態学的特性を把握するために、地理情報 システム(GIS)を用い都市緑地の機能と生態学的評価を行う。さらに、環境学習プログラムの効果的な導入について検討し、実際にワークショップにてワークショップに取り入れる。また、次年度、海外(国立台北科技大学)より、環境デザインに関する講演依頼を受けているため、台湾の環境教育の事例についても調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
供用された河川環境、都市公園において、小学校との連携ワークショップの企画・運営に使用する。また、地理情報システム(GIS)を用いた都市緑地の機能と生態学的評価に研究費を使用する計画である。また、海外での環境教育・環境設計の実施事例についても、調査を行う予定である。
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