2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもの遊びと自然体験を促す環境デザイン及び学習プログラムの開発に関する実践研究
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23601013
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 啓太郎 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10315161)
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Keywords | 生物多様性保全 / 子ども / 環境教育 / 自然再生 / 環境デザイン / 自然体験 / 学習プログラム / 遊び |
Research Abstract |
身近に残された緑地や河川といった自然空間やオープン・スペースを、生物多様性を保全しながら、子ども の「遊び」と「環境学習 」を目的として再生・創造していくことは、現代の都市において重要な課題である。また、子どもにとって「遊び」は、自然のしくみを知り、生活の知恵を身につけるための重要な体験であるが、特に日本の都市部では 、かつて誰もが体験できた遊びや体験型の環境学習を実践していくことは難しいのが現状である。 本研究では、実際の計画・設計プロセスと日欧の比較研究を通して、身近なオープン・ スペースを、「地域の自然環境の修復・再生 」、「環境学習」、「住民参加」、「子どもの遊び」の場として活用できるような新しい環境デザインの手法と環境学習のプログラム を開発することを目的として研究を進めている。 本年度は、北九州市の夜宮公園めぐり坂池の生物多様性向上のためのワークショップ 、遠賀川河口堰魚道および周辺環境の設計を行い、遠賀川のプロジェクトは、本年度、周辺の人々や小学生へ の利用が開始された。これら研究の一環である、遠賀川流域景観保全計画の一部は、都市計画学会九州の最優秀賞に選出された。 環境教育事例については、、都市建築研究所(IWU)のPeter Wernerと現地調査を行った。ドイツ・ベルリンのSudegelende公園の設計者(Dr. Andreas Langer)とミーティングを行い、都市における生 物多様性、環境教育の重要性について共同研究を継続して進めている。また、台湾・台湾科技大学において、招待講演を行い、鄭准教授と都市における環境づくりと生物多様性の保全について調査・ミーティングを行い、生物多様性保全と環境教育 について重要な知見を得ることができた。本研究は、ドイツの出版社Springerから、本の出版のオファーに繋がっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象地である都市公園および河川の環境設計、大学内の自然再生設計について順調に設計・施工が進み、次年度には、活用の 環境学習ワークショップを行うことができるようになった。 このような公共空間のデザイン・活用 に関しては、地方自治体の技術者の協力が不可欠であるが、計画・設計活用にあたっては、国 土交通省、北九州市の公園関連部署の協力を得ることができている。特に、昨年度、国土交通省とは、「環境デザイン研究会」を発足させ緊 密な連携をとるに至っている。 また、今年度の欧州における調査では、環境特性に応じた設計(河川・都市公園)と学習プログラムについて、重要な知見を得ること ができた。このため、達成度は良好で、3年間の研究計画の中で、順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行ってきた身近な環境の設計と環境再生を通じて、今後のワークショップのために必要な環境再生設計の検証を行う。また、継続して、都市緑地の分布、地形、植生等、都市の生態学的特性を把握するために、地理情報 システム(GIS)を用い都市緑地の有する機能と生態学的評価を行う。 さらに、環境学習プログラムの効果的な導入について検討し、実際にワークショップにてワークショップに取り入れる。最終年度は、ドイツのベルリン、ダルムシュタットにおける調査を継続して行う予定である。また、上述したドイツの出版社Springerから、都市の生物多様性と環境デザインについて執筆のオファーがあったため、今回の研究成果は、本の出版に繋がる可能性が高い。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遠賀川河口堰魚道および周辺環境の設計を行い、遠賀川のプロジェクトは、本年度、周辺の人々や小学生へ の利用が開始された。これら供用された河川環境、都市公園において、小学校との連携ワークショップの企画・運営に使用する。また、ドイツにおける環境教育・環境設計の実施事例についても、継続して調査を行う予定である。 環境教育事例については、、都市建築研究所(IWU)のPeter Wernerと現地調査、執筆を行う。ドイツ・ベルリンSudegelende公園の設計者(Dr. Andreas Langer)とミーティングを行い、都市における生 物多様性、環境教育の重要性について共同研究を継続して進める。
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