2011 Fiscal Year Research-status Report
離島の子どもの身体観・健康観・医療観と医療環境とのかかわりに関する人類学的研究
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23601016
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 離島 / 子ども / 身体 / 健康 / 医療 / 人類学 / 環境 |
Research Abstract |
本研究では、「離島医療離れ」が生じている離島社会における子どもの身体観・健康観・医療観と親世代のそれとの比較を通じて、その連続性/不連続性とそうした現象が生じる要因、及び、「離島医療離れ」が子どもの身体と健康にもたらしている現象を明らかにする。 本年度は初年度であるため、平成23年6月に札幌医科大学倫理委員会に研究実施計画の審査申請を行い、平成23年10月に承認を受けた。平成23年11月に研究代表者、研究連携者、研究協力者が集まり、研究内容、研究計画、方法論について事前の打ち合わせを行った。平成24年2月に北海道利尻島と沖縄県波照間島を調査地として、各島の社会の実態や文化の様相に関して、文献調査とフィールドワークを行った。具体的には、(1)各島における家族・親族関係、生態と環境、生業と経済活動、土着の信仰と新興宗教の影響、禁忌や儀礼(誕生儀礼・成人儀礼・死者儀礼)、伝統医療や民間医療について、島民に対するインタビューや島の歴史を綴った書物の解読などによって調査した。また、(2)「危険な場所」「食べてはいけないもの」「触れてはいけない動植物」などの禁忌、病気やケガの対処法、島の医療や医療者について高齢者に聞き取りし、(3)両島の社会と文化に関する文献を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の調査内容はほぼ計画通り行われ、順調に進展している。しかし、2島における島民の身体観や健康観や医療観の諸相を具体的に明らかにするところまでは達成できなかった。その主な理由は、フィールドワークという方法論が医科系大学ではまれであり、倫理委員会における倫理的手続きの合意に時間を要し、承認が遅れ、調査の開始が遅れたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
波照間島では5月に小学校教職員と保護者に対する説明会を行い、調査の同意を得て、小学校における参与観察と児童に対するインタビュー調査を開始する。利尻島では4月に小学校の学校長にこれまでの調査の結果を報告し、今年度の調査日程を詰め、8月に小学生児童、保護者、その他の島民に対するインタビュー調査ができるように事前準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
倫理委員会における倫理的手続きの合意に時間を要し、承認が遅れ、調査の開始が遅れたため、残額が生じた。その残額を用いて、今年度(平成23年度)に予定していた波照間島における説明会ならびに第一回目の参与観察を次年度(平成24年度)の5月に行う。また、今年度に予定していた利尻島での調査報告を4月に行う。その後、次年度の予算を用いて、次年度に予定されている下記の調査を計画通り行う。1.子どもの健康状態の調査2.子どもと親世代の身体観・健康観・医療観の調査3.離島における子どもの健康と医療に関する文献のレビュー
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