2011 Fiscal Year Research-status Report
青年期における生体リズムの改善と精神的健康に関する研究
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23601021
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
佐々木 浩子 北翔大学, 人間福祉学部, 教授 (50331244)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 青年期 / 生体リズム / 精神的健康 / ヘルスリテラシー |
Research Abstract |
本研究は,近年増加傾向にある青年期の睡眠・覚醒を主とした生体リズムの乱れと精神的な健康度との関連を明らかにするために,青年期の生活習慣と精神的健康度に関する疫学調査を実施することを研究1としている。また,調査の結果明らかとなった実態を考慮し,生体リズムの改善のために食事指導を介入研究として行い,精神的健康度への影響を検討することを研究2としている。その上で,食事指導を実施した後の各種指標を検討し,青年期のヘルスリテラシー確立のためのプログラムの試作を目指している。 研究1として,平成23年度には,大学生を対象としての予備調査の解析と本調査を行った。予備調査の項目は,主観的健康感と食生活,運動,飲酒,喫煙,睡眠の各生活習慣及び精神的健康度である。その結果,主観的健康感の有るものに比較して,ない者では精神的な健康度が低く,うつ傾向があり,運動習慣を持たない者が多く,高い欠食率,少ない睡眠時間,遅い就寝時刻となっており,精神的な問題とともに,食事と睡眠の不規則性を中心に生活習慣において問題があることが明らかとなった。これらより,大学生の健康を考える上で,生活習慣における食事と睡眠の不規則性の改善が必要と考えられた。それら結果より,予備調査の項目に精神的な健康を評価する指標を加えて,本調査を実施した。調査用紙の回収数として,1,500部を目標とした。 研究2として,介入研究の試行を実施した。食事指導の内容,介入期間,測定項目等の検討を行った。食事内容の詳しい調査より,大学生における食事の不規則性に加え,菓子類の摂取が多いことが明らかとなった。この結果から,欠食による空腹を補完するために菓子類の摂取を行っていることが考えられた。よって,介入研究での食事指導の内容としては,食事の規則性をいかに向上させるかという点に着目して,栄養指導及び調理指導を行う必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,研究1の調査と研究2の介入研究とに分かれている。 研究1として,平成23年度には,北海道及び東北にて大学生を対象に調査を行うことを予定していた。しかし,3月に発生した大震災の影響により,各大学における体制が整わなかったこと,調査対象となる大学生の精神的な動揺等による調査への影響が考えられ,調査時期を見直さざるを得なかった。また,4月時点では予算使用についても制限があったことから,全体予算を70%上限で見直した。そのため,調査開始日が半年遅れとなった。しかし,全体予算の見直しに合わせて調査方法を集合法に変更したことで,回収率を向上させることができ,研究計画で予定していた回収数1,500部を上回ることができた。また,予備調査分の解析は順調に進んでいる。 また,研究2の介入研究については,試行介入研究を終了し,研究1年目の最後には本介入研究に入ることができた。この点では予定よりも進展している。 そのため,全体としては,概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1の調査については,調査協力を得られた箇所にて新規調査を行い,調査者数のさらなる増加を目指す。また,平成23年度に実施した調査分の解析を進める。性差や項目間の関連の検討を行うこととしている。 研究2の介入研究については,平成23年度末より開始した介入研究を進める。新規の対象者は20名とする。介入期間は当初計画通りの1ヶ月を予定し,暑熱及び寒冷期間を避けて実施することとしている。課題としては,試行介入において,介入後のフォローアップ期間を6ヶ月以上として設定していたが,同一対象者を長期間フォローアップすることは困難であること,調査対象者の拘束感も強くなることから,調査内容の精度が下がることが判明した。そのため,介入期間を含めて6ヶ月以内で全ての調査を終了できるよう期間の設定及び測定項目を見直した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究1については,調査の継続と解析を行うために,調査費用,解析用人件費,送料,消耗品費として研究費を使用する。 研究2については,平成23年度に試行的に実施した介入研究を進める。新規の対象者は20名を目標とする。介入研究用の材料費,各種測定機器消耗品費用,謝礼及び人件費として研究費を使用する。 その他,国内学会を中心に,学会発表及び情報収集を行うための旅費として研究費を使用する。
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