2012 Fiscal Year Research-status Report
青年期における生体リズムの改善と精神的健康に関する研究
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23601021
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
佐々木 浩子 北翔大学, 人間福祉学部, 教授 (50331244)
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Keywords | 青年期 / 生体リズム / 精神的健康 / ヘルスリテラシー |
Research Abstract |
本研究は,近年増加傾向にある青年期の睡眠・覚醒を主とした生体リズムの乱れと精神的な健康度との関連を明らかにすることを目的としている。そのためのアプローチとして,疫学調査(研究1)と介入実験(研究2)を行っている。 研究1の疫学研究では,青年期の生活習慣と精神的健康に関する調査を実施した。これまで大学生を対象とした研究は,単一大学での実施や看護学生など特定分野の学生を対象とした調査がほとんどであり,大学生全体の実態を必ずしも反映していないことが考えられた。そこで,本研究では北海道及び東北の複数大学の学生を対象に,調査用紙回収の目標数を1,500部として実施した。調査項目は,性,年齢,学年,自己申告制の身長及び体重といった基本属性,運動習慣,喫煙・飲酒習慣,ストレスの自覚,睡眠習慣,食習慣および精神的な健康に関する指標となっている。その結果,女子に比較して男子では喫煙や飲酒の習慣の有る者の割合が高く,女子では男子に比較して身体的症状やストレスの訴えの割合が高いといった生活習慣の性差が認められた。しかし,睡眠の質を評価する指標では性差は認められず,日本語版ピッツバーグ睡眠質問票では,全体の約6割が睡眠障害を示す高得点となっていた。これらより,大学生の実態として,生活習慣の性差は認められるが,睡眠に関しては,男女差なく問題を抱えている者が多いことが示唆された。 研究2の介入実験では,小グループによる調理実習を取り入れた食事指導と各種指標の測定を行った。測定指標は,血圧や心拍数の他,唾液アミラーゼの測定,精神的健康度及び食事内容の調査となっている。食事指導の期間は4週間で,その後,終了後1ヶ月及び3ヶ月でのフォローアップ調査を実施し,平成23年度内に14人分までを終了した。食事調査の結果より,大学生の食生活として,特に菓子類の摂取量が多い実態が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,研究1の調査と研究2の介入研究とに別れている。 研究1として,平成23年度に調査用紙の回収目標数を1,500部として調査を実施し,目標部数の回収に至った。しかし,回収した調査用紙の中には,記載内容の不備により解析データから削除せざるを得ない用紙もあったため,平成24年度に,追加の調査を実施し,解析データの追加を行った。その結果,解析数が1,500部を超える見通しとなり,予定以上に進んでいる。 研究2の介入研究については,食事指導を含む4週間の介入期間後,3ヶ月までフォローアップを実施している。そのため,被験者1名の終了までには,5ヶ月を必要とする。生体リズムの変化を考慮し,特に暑熱期間を避けて介入を実施しているため,中断期間が生じる。現在,14人分の終了後3ヶ月までのフォローアップが終了し,その後も順次実施中である。 よって,全体としては,概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1の調査については,平成24年度に新規調査を行った分の解析を進める。性差や項目間の関連の検討を行うこととしている。 研究2の介入研究については,平成24年度に引き続き実施する。当初,介入研究の被験者数目標数を20名としていたが,フォローアップ中のデータ欠損を考慮し,30名を目標として,継続することとした。介入期間は,これまで通り4週間とし,介入後のフォローアップ調査は3ヶ月で,暑熱期間となる7月までに目標の被験者数に達するよう被験者を募る予定である。 研究2において提供したメニューは,モデル献立の一部を用いている。被験者からのメニューに関する聞き取り調査を実施し,大学生のヘルスリテラシーの試作のため,介入研究の食事指導に用いたメニューレシピの応用についても研究する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究1については,調査の解析を行うために,解析用データ入力の人件費,消耗品費として研究費を使用する。 研究2については,目標とする被験者数を累積で30名までとして,介入研究用の材料費及び各種測定機器用の消耗品費,謝礼,調査用紙送料,介入研究のデータ入力の人件費として使用する。 その他,研究のとりまとめに際し,資料費,国内学会を中心に,学会発表及び情報収集を行うための旅費として研究費を使用する。
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