2013 Fiscal Year Research-status Report
非正規雇用により生じる社会経済格差が家族の健康に及ぼす影響
Project/Area Number |
23601022
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
錦谷 まりこ 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (40327333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 栄二 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50114690)
中尾 睦宏 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80282614)
鶴ヶ野 しのぶ 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (10359630)
井上 まり子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20508048)
可知 悠子 日本医科大学, 医学部, 助教 (10579337)
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Keywords | 非正規雇用者 / 健康 / 家族 / 所得 / 社会関係資本 |
Research Abstract |
非正規雇用という働き方の問題点として、収入の低さや保険・年金といった社会保険加入に際して事業主負担がない点など、経済的な側面が注目される。健康と所得との間には一定の関係があることで知られるが、わが国における非正規雇用の多くは賃金が低く雇用形態と収入に強い関連があるため、健康への影響は、雇用形態の違いなのか、収入による影響なのか定かではない。そこで、厚生労働省が調査している統計「国民生活基礎調査」のデータを用い、世帯における雇用者の形態別に健康と経済の関係を分析した。その結果、男女いずれも非正規雇用世帯(正規雇用者が居らず、非正規雇用者のみで構成された世帯)の雇用者の健康不良感は経済状態(等価可処分所得)で緩和されることが示唆された。この内容を日本産業衛生学会で報告し、現在、科学誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従前の研究では、世帯内の雇用形態と従属する家族の健康との関係を分析したが、経済指標に関する解析に関して共同研究者と意見が分かれ、討議とさらなる分析を重ねたため報告に時間がかかっている。ただし、さらに研究に用いるデータを増やすため、国民生活基礎調査の他、児童家庭調査など国の各種統計の目的外使用申請の手続きを行い、年度内に完了することが出来た。 しかし、周辺の研究として、主観的経済状況と健康予防行動の関連に関して行った調査研究の結果を英文誌に報告したので、これをさらに応用して今後の研究を進めることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に申請した国の基幹統計および一般統計の目的外使用申請の手続きが完了したので、引き続き解析を行う。具体的には、健康や社会との関わりの総合評価指標である「生活満足度(幸福度)」と雇用形態の関係を分析し、世帯を共同体とみなし生活の質の決定要素を明らかにしていく。 さらに、研究予算に余裕があれば、非正規雇用者の各集団と交渉し、家族形態と就業形態、健康、生活満足等の質問紙調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経済指標に関する解析に関して共同研究者と意見が分かれ、討議とさらなる分析を重ねたため報告に時間がかかった。また、解析用データの入手申請手続きが煩雑で、かつ、3種類の統計データの手続きを行ったため時間がかかった。 研究デザインと解析手段について引き続き、研究分担者および研究協力者と打ち合わせを行う。分担研究者は遠隔にいるため、打ち合わせ用の出張旅費と会議費、通信費がかかる予定である。また、国の基幹・一般統計の再申請や取得後のデータクリーニングには人手が必要で、研究補助アルバイトを引き続き雇用する予定で、人件費がかかると考える。さらに得られたデータで解析後、論文化する際には国際誌へ投稿する予定であるため、英文校正、投稿費用、なども支出する。
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