2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもの精神病発症リスクの同定とメンタルヘルス向上のための包括的介入モデルの構築
Project/Area Number |
23601025
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
濱崎 由紀子 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (50328051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 憲二朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60359817)
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Keywords | 児童精神医学 / 環境保健 / 予防医学 |
Research Abstract |
当該研究は、前精神病状態にある子どもの病態システムを解明し、リスク群の子どもに対しては発症予防と早期治療のための医療的アルゴリズムを、正常群の子どもに対しては個々の心理行動特性を踏まえた環境調整の在り方を提案することを目的としている。このため、まず子どもの基底障害階層モデルを完成させ、この階層モデルを基盤に精神病発症予防・早期診断・早期治療アルゴリズム・環境調整等の包括的介入モデルを構築することを計画した。 具体的には精神病患者群・正常群を対象にした遡及的調査研究による子ども特有の基底障害の同定、子どものリスク群スクリーニング・ツールの開発、調査結果の精神病理学的検討による子どもの基底障害階層モデルの確立、子どものメンタルヘルスに関与する現代社会環境要因の検討、医療的アルゴリズムと予防的介入システムの統合が主な研究内容である。 平成24年度の研究内容としては、1)遡及的アンケート調査およびデータ処理作業、2)子どものリスク群スクリーニング・ツールの開発、3)生物学的知見を組み込んだ子どもの基底障害階層モデルの構築を計画した。平成24年3月時点で、データ収集量は当初計画量に達していないが、統合失調症の児童期に既にサブクリニカルな心理・行動特性(引きこもり傾向、不安・抑うつ傾向、攻撃性の欠損など)が存在することが明らかになった。CBCLの8つの下位尺度を用いた判別分析では、hit-rate83,0%で患者群・正常群が正しく分類されることが示された。また、交差妥当化によっても81,7%で両群が正しく分類され、この判別関数を用いて統合失調症リスク群をスクリーニングするツール(ソフトウェア)を開発することが明らかとなった。生物学的知見については京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンターの疋田貴俊氏の協力を得て基底障害階層モデルの生物学的基盤部分を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究内容としては、1)遡及的アンケート調査およびデータ処理作業、2)子どものリスク群スクリーニング・ツールの開発、3)生物学的知見を組み込んだ子どもの基底障害階層モデルの構築を計画していた。アンケート調査のデータ収集量は平成25年3月時点で当初計画量の約70%にとどまっており、特に患者群のデータ収集が遅れている。データ量が十分でないため、判別関数をもとに試作したスクリーニング・ツールは未だ精度を欠く状態にある。基底障害階層モデルの生物学的基盤部分についてはほぼ完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き、遡及的アンケート調査およびデータ処理作業を行う。 2)上記統計学的研究によって明らかになった発症リスク因子を検証し、多因子の組み合わせを考慮した「子どもに特有の基底障害メカニズム」を解明する。また生物学的基盤研究および現代社会環境研究の最新知見を合わせて検証し、基底障害論モデルに組み込む。 3)研究内容について討議するため、京都大学医学研究科において「子どもの前精神病状態の病態メカニズムの解明」と題してシンポジウムを開く。また、EPOS(European Prediction of Psychosis Study)のメンバーと、2014年3月開催予定のEPA(European Psychiatric Association)においてワークショップを開く。 4)最終データから判別関数を求め、子どものリスク群スクリーニング・ツールを開発する。 5)上記1)~4)をまとめ、「子どもの基底障害階層モデル」および「包括的介入モデル」を完成させる。 6)研究結果をとりまとめ、国内および国際学会で成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)アンケート調査およびデータ処理作業に要する人件費・謝金は950,000円を予定している。 2)京都大学医学研究科で開催するシンポジウムおよびEPOSメンバーとのワークショップに、会議費用として合計450,000円を予定している。 3)スクリーニング・ツール(ソフトウェア)開発に用いるPCソフト費用として382,000円を予定している。 4)国内および国際学会で成果発表を行うための旅費として850,000円を予定している。 以上、平成25年度の研究費として合計2,632,000円(物品費382,000円:、旅費:850,000円、人件費・謝金:950,000円、その他450,000円)の使用を予定している。
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Research Products
(2 results)