2013 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期における適応方略としての自己主張行動に関する研究
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23601030
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Research Institution | Suzugamine Women's College |
Principal Investigator |
岩城 美穂子 (倉盛 美穂子) 鈴峯女子短期大学, その他部局等, 准教授 (90435355)
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Keywords | 社会性 / 乳幼児 / 発達 / 言語 / 愛着 / 保育 / 対人葛藤 / 自己主張方略 |
Research Abstract |
乳児期のいざこざ場面での対処行動は、身体的主張行動から言語的主張行動へ移行すると推測されているが、その発達過程は明らかではない。本研究では、乳児期の子どもたちのいざこざ場面での交渉方法が身体的主張行動から言語的主張行動へ移行することを確め、身体的から言語的主張行動へ移行するメカニズムを検討した。 その結果、1歳クラスでは身体的主張行動が多く、2歳クラスになると言語的主張行動へ移行することが実証された。また、いざこざ関与数の高い子どもと少い子どもの言語発達及び子どもと保育者との愛着関係(保育者との信頼関係、保育者への依存性、保育者と一定距離はなれて自分で活動する行動傾向)を比較したところ、保育者と子どもの信頼関係は高低群ともに良好だが、高群は低群より理解言語と表出言語の発達が進んでいることがわかった。いざこざが多い子どもには、身体的主張行動が多い子どもと言語的主張行動が多い子どもがいることから、両群を比較したところ、身体的主張行動の多い子どもは、保育者に対する依存性が高く、言語的主張行動の多い子どもは、保育者と離れて行動できる活動性が高いことがわかった。これらのことは、乳児がいざこざ場面に参加するようになるには、理解言語、表出言語がある程度発達していることが必要だが、身体的主張行動から言語的主張行動へ発達するには、子どもは保育者に自分に関心をもってもらいたい依存性がある程度満たされ、保育者と離れ自分のペースで活動できるようになることが重要であり、保育者との愛着関係がKEYであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23平成24年度までに予定していた調査までは実施済であるが、平成25年度実施を予定していた保育園と乳児院を対象とした調査が、秋から冬にかけて感染症が流行したため、調査実施が困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度、改めて保育園と乳児院の1歳児クラスにおいて、身体的自己主張方略が増加する時期と、増加後発生頻度が減少した時期を区別し、2つの時期間での身体的自己主張方略と言語発達及び愛着との関係を検討する予定である。また、本取組の成果を報告書としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度実施を予定していた保育園と乳児院を対象とした調査が、秋から冬にかけて感染症が流行したため、調査実施が困難となったため。 平成26年度、保育園と乳児院の1歳児クラスにおいて、身体的自己主張方略が増加する時期と、増加後発生頻度が減少した時期を区別し、2つの時期間での身体的自己主張方略と言語発達及び愛着との関係を検討する予定である。そこで、行動観察及びデータ整理の段階において学生を雇用するための謝金が必要となる。さらに、本研究の正課を報告書としてまとめるにあたり図書費と報告書印刷費が必要である。
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