2011 Fiscal Year Research-status Report
肺がんCT診断支援システムに適する画質への画像変換法の開発
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23602005
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大久保 真樹 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10203738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 真一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80105519)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | X線CT装置 / 変調伝達関数(MTF) / 画像再構成関数 / 点広がり関数(PSF) / 空間分解能 / 肺がん / CT検診 |
Research Abstract |
最初にCT装置におけるMTFの測定・検証を行い、精度の高いMTFを決定した。考案した画質変換の手法は、一般的な画像の空間周波数領域におけるフィルタリング処理と同様である。しかし、そのフィルタ関数はCT装置で測定されたMTFに基づいて算出する。すなわち、CT装置における2種の画像再構成関数についてそれぞれのMTFを測定し、それらの比を画質変換処理におけるフィルタ関数として利用する。MTFに基づいたフィルタ関数であることから、従来の単なる前処理フィルタ(平滑化やノイズ除去処理など)とは異なり、再構成関数による画質の違いを正確に補正・変換することができる。3種類の再構成関数を用いて、6種類のフィルタ関数について検討した。画質変換処理を加えた画像のMTFを測定し、オリジナルの再構成画像(元画像)のMTFと比較したところ、いずれのフィルタ関数を用いた場合でもよく一致する結果が得られ、算出したフィルタ関数の妥当性が証明された。 次に、模擬腫瘤を持つ人体等価の胸部ファントムを用いて、考案した画質変換処理の妥当性を確認した。胸部ファントム画像に画質変換処理を行い、変換後の画像と元画像とを比較したところ、高い精度で一致することが確認された。模擬腫瘤の描出能についても、変換画像と原画像でほとんど差異はみられなかった。 最後に、臨床における5例の胸部CT画像に画質変換処理を加え、変換後の画像と元画像とを比較した。いずれの臨床例においても、良好な変換処理が可能であることが示された。被験者(個人差)による影響、結節の形状や濃度によらず、安定した処理結果が得られた。変換画像と原画像との引き算画像における標準偏差は、原画像の背景領域における雑音の標準偏差よりもかなり小さい値であり、変換精度が高いことが確認された。 以上の検討を通し、考案する画質変換処理法の基礎を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、今年度に以下の大きな3つの課題を予定していた。1)CT装置におけるMTFを測定し、画質変換処理に用いるフィルタ関数を決定する、2)画質変換処理を加えた画像のMTFを測定し、原画像のMTFと合致するかを調べる、3)臨床における数例の胸部CT画像に画質変換処理を加え、変換後の画像と原画像とを比較し、変換精度を最終確認する。この3つの課題を行い、期待通りの結果が得られたことから、当初の計画通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に研究成果の一部を英語論文にまとめ、専門の英文校正に依頼する予定で予算を確保しておいたが、その経費が予定よりも低額であったため差額が生じた。その差額分を次年度に使用する予定の助成金とした。 今年度に基礎を確立した画質変換処理法を用いて、肺がんCT検診で得られた臨床画像の画質変換を行い、処理法の妥当性を検証する。我々(研究代表・分担・協力者)はこれまでに肺がんが疑われる症例を集めた胸部CT画像データベースを構築しており、十分な症例数の画像群を用いた検討が可能である。このデータベースの画像群には充実性結節陰影や、すりガラス状陰影(Ground Glass Opacity;GGO)など、様々な性状の結節が描出されており、画質変換処理の精度を臨床的・実用的に評価することができる。画質変換の精度が低い場合には、再度フィルタ関数に改良・調整を加えて、変換精度の向上を図り、臨床画像への適用を確実なものとする。 さらに、既存の実用的なCADシステムを用いて、確立した画質変換処理法の有効性について調べる。CADは富士通(株)(研究協力者)が開発したステムを利用することができる。このCADでは、胸部CT画像における標準的な空間分解能特性を持つ画像再構成関数が推奨されている。そのため、高空間分解能型(あるいは輪郭強調型)の再構成関数による画像を用いた場合には、CADの診断性能が大きく低下することが、これまでの予備実験により確認されている。そこで、考案した画質変換処理法を適用し検証を行う。高空間分解能型の再構成関数を用いて得られた画像を、標準的な空間分解能特性を持つ再構成関数による画像の画質に変換してから、CADに入力する。これによって、CADの診断精度低下の改善を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度で必要な物品購入は完了し、次年度はそれらの物品の維持管理や、データの構築・保存に関わる経費、および研究成果を英語論文で発表する際の英文校正費や印刷費が主な使用予定である。特に、期待した通りの良好な研究成果が得られていることから、論文発表の機会が増える可能性があり、今年度の残額は次年度の英文校正費や印刷費に充てる計画である。
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