2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膵ベータ細胞量測定に向けた、PETプローブの探索と比較検討
Project/Area Number |
23602016
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐古 健生 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, リサーチアソシエイト (30525556)
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Keywords | 膵ベータ細胞イメージング / PET / 糖尿病 |
Research Abstract |
我々が作成した膵ベータ細胞量測定用PETプローブ68Ga-DOTA-octreotideに関して、その膵集積の特異性と糖尿病バイオマーカーとしての有用性について、健常ラットと薬剤誘発性1型糖尿病ラットを用いたPET研究を論文にまとめた。本論文は2013年11月2日付でBiochemical and Biophysical Research Communications誌に受理された。 また、ヒト膵ベータ細胞量測定にむけたPETプローブの探索と比較検討のため、種々の放射性ソマトスタチンアナログの中から、ソマトスタチン受容体の各サブタイプに対する親和性と選択性により絞り込んだ3剤の候補物質について、健常ラットを用いたPET実験による比較検討の結果について現在論文作成中であり、平成26年度中に学術雑誌に投稿する予定である。 上記PETプローブの比較により見出された有望な候補PETプローブについて、2型糖尿病モデルラットを用いたPET実験を行ったが、糖尿病発症後はもちろん、血糖値が診断基準未満の糖尿病発症前においても膵集積が有意に減少することが明らかとなり、第53回日本核医学会学術総会(福岡)においてポスター発表でその研究報告を行った。 但し、この2型糖尿病モデルラットでは、文献値よりも糖尿病の発症が早く、膵ベータ細胞数が発症前のどの時点で始まっているのか、PETプローブの膵集積が実際のベータ細胞数を正しく反映しているのかなど不明な点があり、それらを明らかにするため、摘出した膵臓でのベータ細胞数の定量が不可欠となっている。このため、平成26年度ではその方法を習得すると共に、PETプローブの膵集積との相関を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常ラットと薬剤誘発性1型糖尿病ラットを用いた68Ga-DOTA-octreotideのPET研究により、放射性ソマトスタチンアナログの膵集積の特異性と糖尿病疾患バイオマーカーとしての有用性を論文で発表することができた。また、放射性ソマトスタチンアナログの比較検討により、ヒト膵ベータ細胞量測定用PETプローブとして有力な候補物質を見つけることができた。これらの点からは研究目的は順調に達成できていると考える。 しかし、その一方で、糖尿病の大部分を占める2型糖尿病モデル動物においては、PETプローブの膵集積が有意に減少していることは明らかになったものの、実際のベータ細胞の量的変化が不明で、摘出膵を用いたベータ細胞数の定量データが不可欠となっている。PETを用いたベータ細胞量測定の結果を裏付けるためにも、組織を用いたベータ細胞量データの取得が急がれる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、放射性ソマトスタチンアナログの比較検討については、現在論文を作成中であり、今年度中の投稿と受理を目指す。また、摘出膵を用いたベータ細胞量の定量を行い、PETの画像解析から得られたベータ細胞量との相関を明らかにする。組織を用いたベータ細胞量の定量については、既にその手技を確立している研究室との協働を計画しており、早期に手技の習得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、2型糖尿病モデルラットであるSpontaneously Diabetic Torii (SDT)ラットを用いてPET撮像を行ったが、文献報告よりも1か月以上も早く発症したことや、発症後は急激な血糖値上昇を示して病態進行が早いことなど、2型糖尿病モデル動物として再検討が必要となった。また、PETの画像解析による膵ベータ細胞量との相関を示すために、摘出膵を用いたベータ細胞数の定量データが不可欠となった。そのため、当初予定していたSDTラットを用いたPET撮像を中断し、モデル動物の再検討と組織を用いたベータ細胞定量法の確立を行うこととしたため、未使用額が生じた。 動物モデルの再検討と、摘出膵を用いたベータ細胞数定量法の確立を行うこととし、未使用額はその経費に充てる。また、本研究に関して、68Ga-DOTA-octreotideを用いたPET実験より、その膵集積の特異性と疾患バイオマーカーとしての有用性をまとめた論文が既に1報受理されているが、放射性ソマトスタチンアナログの比較検討については現在論文を作成中のため、この英文校正・掲載料などにも充てる予定である。
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Research Products
(2 results)