2013 Fiscal Year Annual Research Report
高精度比較ゲノム解析を用いた糸状菌のタンパク質分泌生産メカニズムの解明
Project/Area Number |
23603002
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小笠原 渉 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (40292172)
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Keywords | 糸状菌 / 比較ゲノム解析 / セルロース / セルラーゼ |
Research Abstract |
これまで、トリコデルマ・リーセイのセルラーゼ高生産変異株系統樹の中から、セロビオースやソルボースを炭素源とした時に標準化部と比べて極めて高いセルラーゼ生産性を示すPC-3-7株に特に着目して解析を進めてきた。比較ゲノム解析から明らかとなった一塩基変異のうち遺伝子内に存在し、なおかつコードするタンパク質のアミノ酸変異をもたらすものについて解析したところ、β-グルコシダーゼII 、転写活性化因子BglR、炭素源異化抑制因子Cre1の変異がセルラーゼ高生産化の原因ということを明らかとしてきた。 PC-3-7株から得られた変異株PCD-10株は、大規模培養を行った場合にPC-3-7株よりも高い酵素生産性を示すが、フラスコレベルでの生産性はほとんど変わらない。PCD-10株の全ゲノム配列を次世代シークエンサーで解析し、PC-3-7と比較したところ、少なくとも3遺伝子に変異が生じていることが明らかとなった。これらの遺伝子を解析するための遺伝子破壊用もしくは変異復帰用のDNA断片を構築した。 トリコデルマ・リーセイにおいてセルラーゼの生産が培養時のpHの影響を受けることが明らかとなっているため、種々のpH条件下における各変異体の酵素生産性を解析した。その結果、標準株においては高pHになるにつれて酵素生産性が低下するのに対してセルラーゼ高生産変異株では高pHにおいても高い酵素生産性を維持していた。この表現型は標準株から取得されたN25株において観察されたため、N25株の全ゲノム配列を解析して標準株と比較した。その結果、100個以上の一塩基変異が見出され、その中でコードするアミノ酸の変異をもたらす遺伝子は少なくとも3遺伝子あることが明らかとなった。 これらの成果については学会にて発表している(4件)
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