2012 Fiscal Year Research-status Report
酵素および生物機能高度化によるバイオエタノール高効率生産酵母の開発
Project/Area Number |
23603003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小瀧 努 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70170264)
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Keywords | バイオエタノール / 酵母 / キシロース / タンパク質工学 |
Research Abstract |
高効率なキシロースからのエタノール生産を目的として、タンパク質工学的手法によりキシロース代謝関連酵素の補酵素要求性を変換した酵素の作成に成功している。すでに行った一連の研究結果により、補酵素としては、NAD+/NADH系よりNADP+/NADPH系を用いる方がエタノール生産効率の効率化が達成できることが示唆されているので、キー酵素ですあるキシロースレダクターセ(XR)およびキシリトール脱水素酵素(XDH)について、部位特異的変異を導入し、完全にNADPHあるいはNADP+依存型となった変異酵素の構築を行った。これらのNADPH完全依存性XRおよびNADP+完全依存性XDHとを種々の組み合わせにより酵母内で発現させることにより、エタノール変換効率の更なる効率化が認められる結果を得た。さらに、キシロースの酵母への取り組み能を増強する目的で、キシロース発酵酵母であるPichia. stipitisのキシローストランスポーターおよびその関連遺伝子と推測した多くの遺伝子を、S. cerevisiaeに導入してキシロース消費の加速効果を比較したところ、それらのうちXUT1およびSUT1遺伝子の発現が最も効果のあることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、蛋白質工学的手法により機能変換した酵素遺伝子の発現により、キシロース―エタノール変換の高効率化を目指している。その目的に向けて、実際に機能変換酵素発現による高効率化を見出しているので、研究は順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、蛋白質工学的研究も推進するが、さらに他の研究手法として、バイオマスから糖類への変換は、物理的爆砕、化学的加水分解あるいは生物的酵素利用分解など様々な方法が行われているが、いずれの場合にも糖類の他にも種々の物質が生成されそれらの生成物による酵母の成長およびバイオエタノール生産の阻害が問題となっている。そこで、この阻害物質あるいはエタノールについて、阻害物質あるいはエタノール耐性となった酵母変異株を作成する。単離し解析したエタノール耐性および阻害物質耐性に関わる遺伝子について、さらに、これらの遺伝子を複数個組み合わせた酵母組換え体を作成し、これら遺伝子の重複変異あるいは重複遺伝子増幅により、エタノール耐性能および阻害物質耐性能が上昇するかどうかを検討する。エタノール耐性能および阻害物質耐性能が、上昇した組換え酵母に対して、温度耐性、塩濃度耐性などの種々の耐性能を検討し、バイオエタノール高効率生産に最も適した「スーパー耐性酵母」を創出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、大腸菌および酵母の培養を頻繁に行う必要がある。現在、最低限の培養機器は所有しているが、研究の進展に伴いさらに要求性が高まっているので、「化学薬品」などの消耗品のほかに、物品としては培養装置などを購入する予定である。また、研究成果の発信のためには「国内旅費」「海外旅費」として、あるいは、欧文国際誌への発信のためには「英文校正費」として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)