2012 Fiscal Year Research-status Report
伝統工芸における日本的グラフィック表現の展開について
Project/Area Number |
23611013
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 仁人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10243122)
|
Keywords | 伝統工芸 / 伝統技法 / 文様 / 商品開発 / ブランド開発 / グラフィックデザイン / 伝統芸能 |
Research Abstract |
伝統工芸工房での技法、文様、商品展開等について具体的に調査した上で、伝統工芸の新たな可能性の追求を進めた。それぞれの工房が持続し、発展させて来た技術を現在の生活に即したものに展開することを目標に掲げ、技法の実験を繰り返した。23年度からご協力頂いている、森本錺金具、金彩荒木、浅田製瓦工場、唐紙かみ添、大石天狗堂での共同研究により、これまでにない技法の展開や、異なる技法を連携させる表現の可能性を見いだすことが出来、その結果、プロトタイプとしてのデザインの提案をおこない、京都工芸繊維大学美術工芸資料館で展覧会を開催した。それと同時に、カタログを作成し、その評価を広く世に問うことをおこなった。今回は生活に即したもののデザインというよりはむしろ、実験的側面を尊重することにより、次世代に繋がる伝統工芸の活路を検討するものとなった。 また、京都を中心にした伝統工芸品の調査分析も進め、撮影した写真を京都新聞上で、24年4月1日から25年3月31日まで毎日連載した。この資料調査では、生活にまつわる伝統工芸から、美術的価値の高いもの、伝統芸能と強い結びつきのあるものなども対象にすることにより、これまでの工芸品の発展の歴史と広がりについても包括的に把握することが出来た。 また、伝統文様の分析により、京都の錦市場における視覚統一計画に応用、各店舗のオリジナルてぬぐいのデザインをおこなうなど、地域に密着した成果をあげた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究内容を随時、デザインの提案や、資料の開示というかたちで、展覧会やほかの媒体上で発表し、すでに多くの方からの反応を得ている。実践的な伝統的イメージのデザイン展開をおこなうにあたり、伝統工芸工房だけでなく、錦市場など生活に密着したエリアや、伝統芸能の広報のサポートなど、あらゆる可能性を視野に入れることが出来た。 収集した資料の調査や分析も順調であり、それらをまとめ、展開する段階に入っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでの実績をもとに京都から日本へ、日本から世界へと、伝統工芸の可能性を展開していくための活動を中心に進めることとする。 日本的デザインの分析結果を応用し、グローバルなデザインへと昇華させる道筋を提案していく。 また、アーカイブと共に、伝統工芸のわかりやすいプレゼンテーションについても考察し、今後の伝統工芸界に寄与する結果を導き出す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年間は当初の計画に反して、京都府外への出張の必要がなかった。つまり、じっくりと京都の中での調査を重ね、デザインの展開、展示をおこなった。しかし、最終年度はそれらをベースに、京都府外や国外での展開の段階に入り、研究費はそれらの出張旅費や情報公開に使用するものとする。また、最終報告書の作成にもあてる。
|
Research Products
(2 results)